恒大集団の許家印会長が当局に拘束(軟禁?)された。容疑内容は不明。
(許家印氏の拘束関連は末尾)
中国の不動産市場は報じられている、あるいは認識されている状態よりはるかにひどいという懸念が強まっている。工事停止中の物件には躯体状態でも購入者が住んで生活を始め、立ち腐れの物件は文字通り「立ち腐れ」で、物理的に工事の再開は無理だ。
中国政府が地方政府を巻き込んで実施し、期待がされた「住宅市場刺激策」だが、大都市では効果がもう消えてしまった。北京、上海、杭州では二次市場での販売が急減している。マンションもオフィスもデベはあまりにたくさんを建てすぎて来た。
香港は過去2-300年の歴史で見ると常に不死鳥のように甦って来た。理屈はともかく、また不死鳥となる兆しが見えている。
東京の住宅は世界の大都市に比べて「アフォ―ダブル(=割安)」とされている。東京で特筆すべきなのは、鉄道の役目として「拠点と拠点を結ぶ」だけではなく、駅周辺に不動産や住宅開発を伴わせ、「街づくり」をしている点だ。代表選手は東急だ。
全米でオフィス市場が最もひどい状態のサンフランシスコのダウンタウンの模様がレポートされた。デフォルトしても叩き売りされても外観は変わらない訳だが、極端な例を除くとおおむね以前から4割前後安く、新規賃料も同程度安くなっている模様だ。もっともほとんどの市民は平穏に暮らしている。
商業不動産セクターの明るい話が2件出た。新型コロナで最も打撃を受けたニューヨークのホテル群がほぼ完全に回復した事、ウニベイル・ロダムコ・ウエストフィールドが一律の店舗削減はやめ、大型でAクラスのモールへは積極投資を始めている事が上げられる。
賃貸マンションの家賃上昇がマンハッタンでは頭打ちになった。デベがラグジュアリー物件しか供給していないフロリダのマイアミやタンパでは値崩れが起き始めている。
しばらくの間、世界的なブームとなった超高額物件だが、第2四半期は前年同期の26%減と、減速が鮮明となった。しかし新型肺炎前の2019年と比べると1.6倍の売買高だ。超高額新築マンションや戸建て超豪邸では「現実的な(売れそうな)な売り値」が見られる。
たぶん精度の高い集計ではないが、アメリカの各都市の駐車場ランキングが出た。トップはニューヨーク市の444$(6.5万円)に対して日本でトップの中央区は5.2万円だ。
(以下、許家印氏の拘束関連)
中国不動産:恒大集団でスタッフが拘束される
(WSJE 2023.9.17・月)
恒大集団の資産運用部門のスタッフが当局に拘束されたが、人数や容疑は不明だ、同社株は一段と下落した。拘束されたスタッフの一人は2021年9月のローン返済不払い抗議活動への対応の本社での責任者だった。
中国不動産:恒大集団、国内子会社の元CEOの拘束で危機が深まる
(BB 2023.9.26・火)
恒大集団(香港上場)の中核である中国国内子会社が9月25日に40億元(816億円)をデフォルトした事から、同社の元CEOが拘束された。3月にも金利支払いが出来ずにいた。恒大集団はいよいよ時間がない。
中国不動産:恒大集団のトップを警察の監視下に置く
(BB 2023.9.27・水)
警察当局は、富豪で恒大集団の会長の許家印氏を監視下に置いた模様だ。同氏は今月初めに警察に連行されていた。今回の物が「拘束」ではない所謂「居住地監視」なのかどうか不明だ。しかし同氏は拘束場所から移動できず、承諾なしには外部の人間と会ったり連絡したりはできない。刑法が絡み恒大集団問題は新しいフェーズに入った。
中国不動産:恒大集団の許家印会長に犯罪容疑
(WSJE 2023.9.28・木)
恒大集団の国内のグループ会社が木曜に利払いを停止した事から、許可印氏は犯罪容疑で拘束されている模様だ。同社はドル建て債で2021年後半にデフォルトしている。恒大集団は本件について詳細を開示していない。同社の債務危機問題は他のデベ、建設会社、その他の住宅関連会社にカスケードの様に広まる恐れがある。
中国不動産:恒大集団が越えてはいけない一線を越えたのが拘束の原因か
(BB 2023.9.29・金)
恒大集団は以前から一般株主や社債権者、下請け業者に損害を与えて来た。しかし先日来は自社が発行する「資産運用商品」で償還不能に陥り一般大衆に損失を与える事態となっている。この「一般大衆への損失」が社会混乱を恐れ、共同富裕を踏み外して一線を越え、今回の拘束に至ったものと想像される。
***ジャパン・トランスナショナル 坪田 清***
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