俳優・実業家のトム・フォード(61才)は自分「トム・フォード・ブランド」をエスティ・ローダーへ28億(4060億円)で売ると昨年11月に発表、一挙にビリオネア(資産1450億円以上のド金持ち)のリスト入りした。
セレブになると豪邸を「いくつも」買いたくなる人が出てくる。最も有名なのはファンドのシタデルの創業者グリフィン氏で、数十億円以上の超豪邸を少なくとも10戸・合計10億$(1450億円)分以上は持っている。彼の年収は最近は2000億円だ。「超」が付く豪邸でもせいぜい1億$(145億円)なので、いくつ買っても余ってしまう。
ザラの創業者のオルテガ氏も金持ち過ぎ、おまけに「自分が生きている間は税金を払いたくない」という信条を持っているらしい。H&M他の会社から受ける「巨額の配当金」は現金のままだと税金がかかるが不動産等を買えば税金を払わなくて済むそうだ。したがって「複利」で不動産が増えていき、先日のBBCによれば保有不動産が200億$(2.9兆円)になってしまったのだそうだ。
トム・フォードのケースは「にわか成金ビリオネアの大豪邸投資」だ。
一言で言って素人のやりがちな投資だとの感を持つ。
問題がはっきりしているのは今月5200万$(75.4億円)でクロージングした、「ジャックリーヌ・ケネディ・オナシス」ゆかりのイースト・ハンプトン(ニューヨーク近傍の著名別荘・保養地)の大豪邸だ。
「ジャックリーヌ・ケネディ・オナシス」は生まれた時は「ジャクリーン・リー・ブーヴィエ」、ジョン・F・ケネディと結婚して「ジャックリーヌ・ケネディ」となり、ケネディ暗殺後は富豪のギリシャ人富豪と再婚して今は「ジャックリーヌ・ケネディ・オナシス」とか「ジャクリーヌ・O」と書かれたりする。
彼女の実の両親は共に富豪で、ケネディの親も富豪、そのせいもあって「ジャクリーヌ」はあちこちに住んだり長逗留をしてみたり、買っただけで住まずに売った家もある。
こういった彼女ゆかりの住宅や別荘などは少なくとも10軒はあり、現在の持ち主が売りに出すと「ジャクリーヌの・・」というプレミアムが付く。
このプレミアムは10-15%程度だという。
今回、トム・フォードが買った超豪邸だが、ジャクリーヌの祖父が(たぶん)常住していて、夏の間、子供時代のジャクリーヌが過ごした、というのがトム・フォードが払った事になる今回の「ジャクリーヌ・プレミアム」の根拠だ。
まず、「ジャクリーヌが過ごした」というのが本当だとしても、プレミアムを膨らませるために大げさに言っているのではないか?
そもそも「ジャクリーヌ・プレミアム」が無くてもこの大邸宅は築推定106年という、ハンプトンズにある家としては歴史的な価値がある非常に稀な大豪邸だ。
つまり「歴史的価値がある豪邸にジャクリーヌ・プレミアムが乗っている」わけです。
いかにも「不動産のしろうと成金が、目一杯の高値で買いそうな話」に聞こえませんか?