「碧桂園」でドミノ倒しが始まると中国を超え世界経済を揺るがしかねない

 碧桂園は2022年まで6年間、売上高で中国最大のデベだったが、2本のドル建て債・額面合計10億$(1450億円)の利払いがなされず、急激に不安感が高まっている。

 

 利払い日は(8月の)7日で、今は30日の猶予期間中だ。決算は近日中に発表されるが、上半期は最大76億$(1.1兆円)の超巨額赤字となる模様である。

 

 同社はティア3・4といった地方都市でのプロジェクトが多く、中国の14の大都市におけるプロジェクトの割合は8%しかない。年初7か月の販売戸数は前年比で35%もの減少、株価も社債価格も大幅下落している。

 「販売済み未竣工物件」の問題は以前、社会騒乱になりその後の当局の手当てで今は沈静化している。碧桂園も多くの「販売済み未竣工物件」を抱えていて、この上半期には27.8万戸を購入者へ引き渡し、年間では70万戸を引き渡す予定だとしている。

 

 過去のブログ 続報:中国でマンションの工事が進まず、購入者たちがローン返済拒否   

        「恒大集団」 

 

 すると問題なのは手持ち資金を「未竣工物件を完成させるための工事」向けに使うか、「ドル建て債の利払いのために使うか」だ。どちらにしてもかなりの混乱が起きる。

 「社会騒乱を避けよう」とすれば、碧桂園は恒大集団に続くマンションデベの大型デフォルト第2号となってしまう。おまけに商業不動産が中心の巨大デベ・大連万達も危うい状態にあり、「デベのドミノ倒し」が起こりうる。

 

 アメリカは中国のこの苦境を冷ややかに見ている。中国は輸出が急減、以前からの企業物価のデフレに加えてとうとう消費者物価もマイナスになった。中国人が好きな豚肉の価格に至っては26%下落だ。

 巨額債務のうち、地方政府の外郭団体(LGFV)の過剰債務問題は当局のお膳立てで「借りすぎの所と枠が余っている所をスワップする」というのだから、あまりにも弥縫策である。

 

 「中国でしか作れない」という部品はごく少ないのだろうが、「そこそこ価格でこれだけ膨大な量の部品を作れるのは中国しかない」という物は多いはずだ。中国が大事に至ると、世界の製造業が部品不足で生産が止まってしまうのではないだろうか。