SREホールディングスの株主総会に向けての質問状を社長あてに送っていたのだが、総会を欠席してしまった。
想定問答を準備されていたようだったら、申し訳ない。
ちなみに送付した質問状は次の通りだ。
総会の場でこれらに触れられたかどうかは不明。
なお同社の公式報告はこれだ。https://ssl4.eir-parts.net/doc/2980/ir_material/209617/00.pdf
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2023年6月18日
SREホールディングス・株主総会質問状
質問1)増収増益が連続し配当原資も十分あるのに、なぜ配当を実施しないのか。
配当を開始する時期のめどを聞きたい。
質問2)英語で言う「戦略的オプション」の検討状況の説明を求める。
貴社の場合の「戦略的オプション」には例えば次の手順がある。
SREホールディングスを存続会社、
ソニー・フィナンシャル・グループを消滅会社とする合併と同時に、
存続会社で公募新株を発行する。
存続会社は「ソニー・フィナンシャル・グループ」へと社名変更し、
現SREホールディングスは存続会社の一部門とする。
現SREホールディングス株主は新「ソニー・フィナンシャル・グループ」株主となる。
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(以下の部分は株主総会では発言しない)
私は長期にわたり貴社の事業姿勢を厳しく批判し、昨年の株主総会では往年の総会屋と似た質問をした。しかし今総会から立場を変え、株の本来の趣旨に基づき「貴社の発展を通じて株主として利益を得たい」とする。
ソニー不動産として華々しくデビューした当時、ソニーの名の下での軽挙妄動に怒っていた当時の業界トップは世代交代が進んだ。せっかくのソニーの力を、不動産業で前向きに活かせるよう、もう「軽挙妄動への怒り」から脱却すべき時にあると私は考えるに至った。
ITと不動産業は想像以上に相性が悪い。既存不動産業界はITを活かす知恵を持たず、社内に多くのITスタッフがいても彼らは本業のサポート役に見える。これは銀行業界におけるシステムス・タッフの立場と似ている。
この点、SREホールディングスは生まれ育ちが違う。SREホールディングスこそが不動産業界を変革し、日本国の国民をより豊かにする潜在力を持っているはずと考える。
何が「不動産業界の変革を妨害しているか」についてだが、実は「宅地建物取引業法」そのものなのではないのだろうか。宅地建物取引業法は昭和27年に制定、以降、消費者保護のために幾多の改正が行われて諸制度の整備も進み、住宅や不動産取引は昔からは考えられないほど消費者保護が進んだ。
ところが法改正はたいていは局部的・局所的に進められ、「大改正」と称した場合でもこれを「大」とは言い難い。法解釈や諸制度はどんどん精緻になり、既存の発想ではますます局部的・局所的な問題点の議論になる。一方、SREホールディングスのように過去のしがらみを知らず自分の問題意識を自由に扱おうとすれば、たちどころにして過去の「法解釈や諸制度」に引っかかってしまったはずだ。
これをどのようにブレイクスルーするかが私が今後、SREホールディングスに最も期待する点だ。アメリカにも「Zillow」や「Redfin」といったIT不動産の成功例があるが、私が期待するのはあの程度のものではない。若い頃、私の人生を随分と豊かなものにしてくれたのはまさにトランジスターラジオやウォークマンやCDだ。これらは世界も変えた。「Zillow」「Redfin」が成功したと言っても所詮はアメリカ国内の話にすぎず、比べ物にならない。
次は配当に対する考え方だ。私は大手不動産会社で「子会社・関係会社監理」という部門に比較的長く在籍した。ある時、重要な子会社8社の社長を集めた会を持った。この時、有配会社の社長達は背筋を伸ばして会議室に入り、無配会社の社長達は背中を丸め、その違いが一目瞭然である事に驚いた。
当時の子会群はほとんどが親会社のビル事業やマンション事業ほかの補完として設立され人的にも株式的にも支配され、儲かっているようなら各事業部はただちに値下げを要求、子会社に利益が上がるはずがない。この桎梏の中で何とか外で稼ぎその利益で配当をしたいという社長に、私たちの部は配当はしなくていいから内部留保に回せと言う。しかし「いや、配当させてくれ」という社長達がいて、彼らこそが背筋を伸ばして会議室に入ってきた社長たちだった。
うち2社が後に上場をするに至り、両社ともその年度の新規上場で日本最大となった。
あの時、利益が上がっても配当はしなくてよいと我々が言い、そして配当をしなかった会社の中にその後、十分な利益体質の会社へと成長した例はあるが、それはたった1社だけだ。配当をしない会社は結局、いつまでも鳴かず飛ばずとなるものだと思う。
多くの場合、子会社の配当金は親会社の利益と比べると微々たるもので、親会社の人間は愛情心から配当はしなくてよいと言う。しかしこれは実は重大な間違いで、配当を実施しない子会社の社長はいつまでたっても経営者にはなれない。配当は株主や親会社ソニーのためにするだけではなく、同時にSREホールディングス自身のためにもするものなのだ。
最後にこれは蛇足かも知れないが、企業の給与水準について、意外な感を持った話を書きたい。
ある子会社は私が担当していた当時は経常利益が1億円で、親会社がデベロップメントを完了すると自動的に仕事が降りてくる。私の担当の一つが子会社各社の給与水準関連だったのだが、当時の同社は決して好待遇な会社ではなかった。
この部を移動して十数年後、この会社に出向した後輩が私と飲みたいと言い、聞くとこの会社の給与水準は業務の割に高すぎないかと言う。確かに数字を聞くと昔よりかなり高い。
旧知のプロパーの役員に聞いた結果が意外だった。給与水準を上げたので中途や新卒で人間を取りやすくなったのは当然だが、昔からの社員も昔と比べ物にならないくらいによく働き経常利益も今は数十億円なのだという。昔、業務で会った若手の人間の現在の状況を聞くと二人とも本社の枢要な部の部長で、会社を引っ張る牽引車なのだそうだ。記憶では凡庸で内向きな感じの方たちだった覚えがあるのだが、人間がすっかり変わっていた。
給与水準をあげるだけで会社の業績が良くなるわけではもちろんないが、金銭的な処遇が従業員に与える効果は非常に大きく、会社にとってリターンが大きい場合がある。決算書だけでは断言できないが、SREホールディングスの給与水準は低くはないだろうか。
配当を実施せず、社員にさほどの給与を払わず、社内留保だけをどんどん膨らまし、こんな経営をしていてどこが楽しいのか、私には理解できない。稼いだ分の3分の1くらいはばら撒く、これくらいの気概で経営にあたるようになれる経営者となる事を望む。
(以上)
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株主総会質問状(補足)
2023年6月19日
下記の質問2)は取締役監査等委員候補である琴坂将広氏の職歴にマッキンゼー・アンド・カンパニー・インクもあるとの事なので、同氏の意見をよく聴取の上、お答えいただきたい。
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質問2)英語で言う「戦略的オプション」の検討状況の説明を求める。
貴社の場合の「戦略的オプション」には例えば次の手順がある。
SREホールディングスを存続会社、
ソニー・フィナンシャル・グループを消滅会社とする合併と同時に、
存続会社で公募新株を発行する。
存続会社は「ソニー・フィナンシャル・グループ」へと社名変更し、
現SREホールディングスは存続会社の一部門とする。
現SREホールディングス株主は新「ソニー・フィナンシャル・グループ」株主となる。
(6月19日追記)
この手続きに従えば新「ソニー・フィナンシャル・グループ」にはバック・ドア・
リスティングによる極めて簡便な手続きにより上場ができるメリットがある。
新「ソニー・フィナンシャル・グループ」は「ソニー」の名を冠している点や、
ソニーグループ株式会社のグループ経営で明確な位置づけを持っている点で、
現SREホールディングスの株主にとり、経営への安心感が格段に増す。
(以 上)