ディズニー社とフロリダ州デサンティス知事は双方が相手側を訴え、「ケンカ」は法廷入りする。裁判官が気の毒だ。知事のLGBT関連の姿勢にディズニー社が疑問を呈した事に始まるが、ディズニー社は「ヘマ」により年・数十億円相当の費用増加が見込まれている。
ディズニー社はカリフォルニアの価値観で知事のLGBT関連の姿勢を批判したのだろうが、あまりにも軽率だった。一方、デサンティス知事は「この程度の問題をこんな大問題にしてしまった」わけで、いずれ「大統領候補としての能力」が問われる事になるだろう。
(ディズニーとデサンティス知事の対立関係の記事抄訳は末尾)
(過去の参考ブログ)
大型ビル市場ではしばらく取引が枯渇している。サンフランシスコで三菱UFJが売却する22階建てのビルの値段が「新価格」となる。4年前の評価額は3億$(405億円)だったが、今の成約見込み価格は6000万$(81億円)という激安さだ。空室率が70%もある。
サンフランシスコはIT企業が多くリモートワークが進み、ダウンタウンのオフィスビルの空室率の増加幅は全米でも飛び抜けて大きい。さらに繁華街でも犯罪が増加、ホールフーズやノードストローム他で「店員の安全が守れない」として中心部の大型店舗を閉鎖した。
ブルックフィールズはロサンジェルスのビル群に続き、ワシントンDCでもデフォルトを選んだ。金融機関との交渉を有利に運ぶために行った「選択的デフォルト」と見られる。
マンハッタンの巨大ターミナルであるペン駅の周辺再開発計画は、市況悪化で一時停止となった。ボルナドは25年前から駅周辺の低利用の不動産を買い集めていた。
長期借入を変動金利で行なう際に金利上限をヘッジする為の「ヘッジ料」が高騰していて、借り換えの際等に苦しむデベが出ている。1億$(135億円)・3年物ローンで金利上限を3%とした時のヘッジ料は4年前は9.8万$(1320万円)だったが今は348万$(4.7億円)だ。
地銀のファースト・リパブリックはJPモルガンが受け皿となる事で騒動は終ったが、その後、パックウエストやウエスタン・アライアンスといった地銀が問題化している。
住宅市場では「買い手が買う気満々」であるのに「売り手は売りにためらい」を持っている。売り手を躊躇させているのは現在の自宅のモーゲージ金利が非常に低い事と買い替えたい物件の価格が想像以上に上昇している為だ住宅市場の各種の指標は交錯状態。
ブラックストーンのBREITが償還請求全額に応じていない状態は6か月連続となった。
ソフトバンク傘下のアームがSECへ上場を申請した。時価評価額は数兆円の見込み
中国では当局の本腰を入れた不動産救済策により住宅価格が2ヶ月連続で上昇するなど明るい兆しがあった。しかしそれも束の間で、新たな金融支援策・「三つの矢プログラム」は機能しそうにないとの失望に個別デベの不振が加わり、不動産デベ危機再来の懸念がある。
シンガポールでは住宅価格の上昇を抑える為に住宅取得時のスタンプ税を大幅に引き上げた。外人が民間住宅を取得する場合の税率は従前の30%から60%となり、その他を合わせると65%にもなる。ニューヨークでは4%、ロンドンでさえも15%だ。
メルボルンが周辺の一部地域を同市へ編入した事が主因で、オーストラリアで人口が最大の都市はシドニーからメルボルンへ移った。メルボルンの人口は487.5万人(2021年)。
チャールズ新国王の戴冠式(5月6日)に合わせロンドンの各ホテルは各種の特別アメニティを用意している。記念ウィスキーやグッズ、臨時の屋上レストラン(空軍のジェット機を展望)などだ。ホテルの予約が特に多いのはアメリカ人で、イギリス人は式には関心がない。
クレディスイスにとって同社の最後となる第1四半期決算は、破たん会社であるというのに税前利益が144億$(1.94兆円)という奇妙な決算になった。AT1債の消却益のためだ。
(ディズニーとデサンティス知事の対立関係の記事抄訳)
ディズニー:デサンティス州知事が立法措置により対抗の構え
(ウォールストリート・ジャーナル電子版 2023.4.17・月)
ディズニー社が持つ特権についてはディズニー社寄りの地区委員会が土壇場の2月に裏ワザで維持を決議したが、デサンティス州知事は州知事寄りである新しい地区委員会によりこれを無効化しようとしている。同新委員会はディズニーの土地利用の在り方も精査し、「州立刑務所」の新設も検討対象となりうるとしている。
ディズニー:デサンティス州知事、ディズニー社への懲罰的措置も考慮か
(ニューヨーク・タイムズ 2023.4.17・月)
デサンティス州知事がディズニー社へまたパンチを繰り出した。採りうる懲罰的措置としてはディズニーワールドの不動産税を増税、パークの入り口近辺を開発する、有料道路化し通行料を徴収する等を上げている。
ディズニー:新メンバーの新委員会が従前の委員会の決定を無効へ
(ウォールストリート・ジャーナル電子版 2023.4.19・水)
ディズニーワールドに関する「リーディー・クリーク土地改良地区」は廃止され「フロリダ中央観光管理地区」が発足、しかし前者は廃止の直前にディズニーの権利を今後数十年間認めるとの契約をディズニー社と行っていた。知事は新メンバーによる委員会により前委員会のこの決定を無効化する計画だ。
ディズニー:共和党の人間がデサンティス州知事を批判
(ニューヨーク・タイムズ 2023.4.19・水)
デサンティス州知事とディズニー社の対立が激化する中、同じ共和党の中からトランプ元大統領や前州知事など、デサンティス氏を批判する声が出ている。ディズニー社はフロリダでは民間最大の雇用主だ。
ディズニー:ディズニー社がデサンティス州知事を訴える
(ウォールストリート・ジャーナル電子版 2023.4.26・水)
デサンティス州知事とディズニー社の間の喧嘩は法廷に持ち込まれた。デサンティス知事が任命した委員会が、ディズニー社が実質的に指名していた前委員会でのディズニー社に非常に有利な決定を無効とした為だ。デサンティス知事は資産の再評価による不動産税の増額やパーク入り口近くの開発、州刑務所の設置等もちらつかせる。
ディズニー:同社がフロリダ州知事を訴えるに迄に至ったのはなぜか
(BBC 2023.4.26・木)
当初は昨年3月に始まった「酒場での喧嘩」程度の話だったのに何回ものやり取りがエスカレート、店の外の通りでのバトルとなり、やがて商店や住宅にまで被害が及んでいるのがディズニー社とフロリダ州知事の争いだ。
ディズニー:今度はデサンティス知事側がディズニー社を訴え返す
(ウォールストリート・ジャーナル電子版 2023.5.1・月)
ディズニーワールド一帯を監督する委員会は、ディズニー社は裏取引を図っているとして訴えた。
ディズニー:馬鹿げた争いは止めるべきだ。双方にとり相手は大事
(ブルームバーグ 2023.4.27・木)
ディズニー社の側の訴訟での言い分は「直球」だが、政治の場で見ると正反対だ。「何が事実か」の争いも、ディズニー社の「目覚めている」文化の問題も、双方は執着すべきではない。議論は法的な面では極めてシンプルだ。
ディズニー:長期戦に持ち込まれた事は知事にとって誤算だった
(ウォールストリート・ジャーナル電子版 2023.4.27・木)
当初は知事の姿勢を支持していたが「今は支持に疑問がある」という共和党議員がいる。知事の「復讐」の色が濃くなり「知事が正しい」と言いづらくなっている。ディズニー社はフロリダで今後10年間に170億$(**兆円)の投資と1.3万人の新規雇用を掲げている。デサンティス州知事は次期大統領選での最有力候補だ。