ニューメキシコ州の「セロ・ペロン・ランチ」と言う名のランチ(大牧場)は、母屋と厩舎(?)を安藤忠雄先生が設計しているのだが、これが2021年1月に4000万$(53億円)で売買されていた。
報じるウォールストリート・ジャーナルは、「安藤忠雄のいつものスタイルであるコンクリート(うっちっぱなし)の建物だ」としている。
コンクリートの上に化粧でタイルを張らせてもらった方が、施工としては楽なのだが、アメリカの生コンやさんも一生懸命、棒でつつい綺麗に仕上がるように頑張ったのだろう。型枠を外す時は、綺麗に仕上がっているかどうか、非常にスリリングだそうだ。
この物件、所在地はニューメキシコ州のサンタフェ(宮沢りえゆかりの地)のそばのガリステオ盆地という場所にあり、この豪邸からはとてつもなく広い野原を見渡せる。
安藤先生はどんな建物でも建てちゃう(受注してしまう)ようで、印象深い建物に東大の本郷キャンパスにある「東京大学オフィシャルショップ」がある。赤門から入って左に曲がったすぐにあるのだが大きさも外見もコンビニと似た様な物、これがプリツカー賞の安藤先生の設計とは思いもよらなかった。工夫もへったくれも何もしようがない建物だ。
誰がいけないのかと言えば、東大なり文部省だと思う。もう少し予算を付けて立派な物をお願いしておかないと、「安藤忠雄ツアー」で海外から来た安藤ファンは狐につままれる。
この「東京大学オフィシャルショップ」、何を売っているかがまた問題だ。10数年前に東大に行った時に見慣れない場所に場違いの変な建物があるので「これはなんじゃら?」と中に入った。まったくわけがわからない品ぞろえで、日本酒の一升瓶の横にスタイリッシュなインテリア用品、その隣がおコメとてぬぐいという感じで(当時)、要するに東大の各研究所で「作る事が出来た物」を売っている店だった。
普通は「売れそうな物」を売るもんだと思う。
何も買わずに出ようとしたらレジの(たぶん)女子大生の悲しそうな・恨めしそうな目とあってしまい、仕方が無いので小銭入れを取ってレジに行ったら「6000円」というのに仰天、いまさら買うのは止めるとは言えず、買った。その後、これは実は「東大と和光の共同制作」という代物で、「6000円」というのは不当に高い値段ではない事がわかった。
安藤先生の名刺がある。しかしどんなシチュエーションでこれを頂いたかがどうしても思い出せない。これを残念に思いその代わりにこの小銭入れはながらく愛用した。