不動産危機対策で中国政府が広範な救済策。これで十分だろうか?

 中国でやっと北京政府が腰の入った不動産セクターへの広範囲にわたる金融支援策を発表した。16項目からなり、重要な項目としては「銀行のデベ向け融資規制の緩和」「今後6か月内に満期返済期が来る借り入れの返済期限の一年延長」等がある。

 

 このデベ支援策に対しては評価が分かれている。これを「ターニングポイント」と見てデベの株価や社債価格が急騰した一方、「時間を買って問題を先延ばしにしただけ」「返済期を迎えるデベ群の社債はあまりに巨額でこれでは間に合わない」と批判的な人間も多い。

 

 共産党大会で習近平は「共同富裕」を堅持した。しかし富裕層にとっては「共同富裕」とは自分の富を削って皆に共同で分け合うものとも言え、中国の富豪たちは富をどんどん国外に移転させている。シンガポールがその最も有力な受け皿となっている。

 

(中国の中央政府関係の施策記事・末尾)

 

 リーマンショック後の以来の激しい世界同時・の住宅不況が到来する可能性が指摘されている。最悪の場合、エマージング諸国で25%下落、先進国で10%下落と見込まれている。しかし日本では住宅価格の上昇は穏やかな物に留まり、異なる様相となろう。

 

 孫CEOは大部分の日本の企業のCEOとは異なり、四半期決算をCEO自らが説明していた点では高く評価されていたが、今後は自分はもう決算発表の場には登場しないとした。奇矯な絵やたとえも含め、日本企業のトップとしては飛びぬけて世界で顔を知られている。

 

 マンハッタンではラグジュアリーな分譲マンション、賃貸マンションがともに好調だ。これらの売れ行きは過去10年間で3番目の良さとされ、家賃も上昇が続いている。高級別荘地のハンプトンズでは入札合戦の比率は減ったが、成約に要する日数が短くなっている。

 

 しかしラグジュアリーを除いた一般のセグメントでは、売買、賃貸ともに不調の度合いが強まっている。売買の「契約入り件数(:日本の手付授受)」は前年比3割減、賃貸家賃のメディアンのピークは今年の4月で以降、下落が続いている。

 

 市場の悪化でフリッピング(iBuiyng)大手のオープンドアやレッドフィンは苦しんでいる。

 

 モーゲージ金利は現在7%前後だが、これは明らかに高すぎる。高くなる最大の原因はモーゲージを束ねたMBSの買いがすっかり減り、MBS利回りと長期国債の利回りとの差が拡大している事だ。以前は大口の買い手だったFedや銀行等は今はMBSを買っていない。

 

 IT各社が一斉にオフィス床の削減に入っている。今年の初夏頃には各社とも採用を急拡大し、それに伴い猛烈な勢いで床を借りていた。つい先ごろまで応募者に好待遇を提示して大量に雇用していたが、各社は今度は一転して社内で「解雇通知」を大量に送っている。

 

 ホリデーシーズン中の旅行は、レジャー客を中心に大混雑が見込まれている。従って例年とは異なり、ブラックフライデー(今年は1127)の特売でもホテルの宿泊料の大幅ディスカウントを見つけるのは難しい。

 一方、小売店は売れ筋を外した商品の在庫をさばくために、もうブラックフライデイのディスカウントが始めている。

 

***ジャパン・トランスナショナル***

http://www.japan-transnational.com/

 

(中国の中央政府関係の施策記事)

中国不動産・支援策:銀行の不動産向けの融資制限を達成する期限を延長 

(ブルームバーグ 2022.11.13・日)

 中国人民銀行は「不動産向け融資の集団的管理制度」により銀行の融資全体の26%に相当する部分について、不動産向け融資の比率の上限を銀行に課してきた。その遵守達成期限をこの1231日以降に延期するとしたが、1111日に発表された不動産セクターの救済策の中ではこの点が最も重要なポイントだ。

中国不動産・支援策:当局の大きな政策変更をどう見るか、意見が分かれる 

(フィナンシャルタイムズ電子版 2022.11.16・水)

 当局が発表した16項目の方針により不動産セクターが改善するかどうかについては見方が分かれている。転換点として高く評価する向きもあれば「時間を買った」だけで本格回復にはならないとする向きもある。

中国不動産・支援策:当局の新施策は不動産デベ向け、購入者は依然警戒

(ウォールストリート・ジャーナル電子版 2022.11.14・月)

 当局の最大の関心は販売済みのマンションを竣工させる事で、デベの中で最も健全な会社は破綻を避けられるだろう。しかし住宅市場の回復は難しい。アメリカの家計は株やボンドへの投資が大きいが、中国人の投資は主に住宅で行なわれているからだ。市場が回復をしても新築住宅の価格はかなり低くなるだろう。

中国不動産・支援策:ターニングポイントを期待して不動産株が急騰 

(フィナンシャル・タイムズ電子版 2022.11.13・日)

 当局のデベへの救援策で、不動産株は全面的に上昇し不動産株指数は13%上昇した。当局はデベの銀行借入れと信託借入れのうち6か月以内に返済期が来るものは返済期限を一年延ばすとしている。しかし香港市場ではデベのドル建て債はリバウンドした後に大きな売りが出、さらにリバウンドした物は投資適格債に限られていた。

中国不動産・支援策:確保できた現金に騙されて株や社債が一時的な上昇

(フィナンシャル・タイムズ電子版 2022.11.14・月)

 

 当局がどう言おうが投資家は中国の不動産株を懐疑的に見ている中、碧桂園や龍湖集団他の不動産株は大きく値上がりした。しかし住宅価格は13か月連続で下落し新築販売件数は前年比で30%減少している。銀行株が上昇しないのは銀行が「緩衝材」の役目をしているからだ。不動産向けの不良債権は急速に膨らみ、今後も増加する。