「リモートワーク」がどんなに高く評価されていても、経営者は一貫して疑っていた

 オフィス復帰への流れが一段と強くなっている。従業員はハイブリッド勤務を望んできたが企業経営者側がリモートワークを望んだ事はなく、彼らは在宅勤務へは「疑念」や「不信」を持っている。メディアは従業員の望みだけを大きく取り上げすぎている。

(関連記事:末尾)

 

 円安が極端になり、世界の注目を浴びている。日銀の複数回の円買い介入は円安阻止や反転に失敗、円買い介入の原資である外貨準備は記録的な速度で減少した。日銀が目指す「イールドカーブ・コントロール」は国債市場の機能不全を招きく恐れがると指摘されている。

 

アメリカでは量的緩和からの縮小へ移行する副作用で米国債の応札額が減少し、イギリスでは辞任したトラス前首相の「ミニ予算」が嫌気されてポンドも英国債も下落した。

 

 アメリカの不動産ブローカーの間で、TikTokYouTube、インスタグラム等の利用が増えている。ジロー等ではリスティングされている物件数が多すぎて、目に留まらない。

 

 アメリカでは住宅売買件数の減少が続く一方で、住宅価格の下落はそれほど大きくない。住宅の「売り物件数」が減少したために需給が緩んでいない事が原因のようだ。新型コロナ対策に伴う3%という低利ローンにリファイナンスした人は、これを手放そうとはしない。

 

 全米で上昇一途だった住宅の賃貸需要が急に細り始めた。賃借人の家賃負担が限界に達した為のようだ。家賃の下落傾向は新型肺炎でブームとなったラスベガス、フェニックス等で顕著だ。一方、ニューヨーク、サンディエゴ、マイアミ等での上昇は依然として大きい。

 

 全米でグロサリー首位のクロガーが同業第2位のアルバートソンズの買収を発表した。

 

 カナダで起きた住宅バブルは反転し、今やトロントの住宅価格が前月比で17%下落だ。

 

 習近平が3期目の共産党書記長となったが、経済は問題だらけだ。不動産バブルは「破裂」はせずに空気が抜けるようにバブルが萎んでいる。中央・地方の政府部門の予算の赤字の総額は1兆$(146兆円)に達していて、地方政府が土地売却の成約を仮装するのももう限界だ。

 

 市場安定化を狙い、中国では当局により選ばれたデベについてのみ、新発社債を当局が保証をする。しかしそのようなデベの一社の旭輝控股で社債発行後、香港子会社がHK$建て社債の利払いを出来なかった。政府保証を受けている会社がこれでは、安全なデベはない。

 

 イギリスでは大型の国債増発を伴うミニ予算が嫌われ、首相のトラス女史は英国・現代政治史上で最短となる44日の在任で辞職となった。後任はインド系のスナク氏。

 

 イギリスでは各商業不動産ファンドが保有する大型不動産の売却を強いられている。ゴールドマン・サックスは「商業不動産は2024年末までに最大20%価格下落する」としている。 一方、現下のポンド安は行き過ぎでこれが戻れば不動産市場も回復すると見る向きもある。

 

 ユーロが対ドルで安くなっている事から、アメリカ人のヨーロッパ不動産投資が増加している。目立つのはフランスのパリのラグジュアリー物件と、ポルトガルだ。後者には黄金ビザ制度がある事に加えて温暖で生計費が安い事も魅力だ。

 

 クレディスイスは、アメリカにある同社の中核部門の一つの売却が近いが、同行には脱税ほう助、マネーロンダリング等、次から次へと悪い話が出ている。クレディスイスを見ると「スイスの銀行は信用する相手」ではなく、「悪事を隠すためのパートナー」のようだ。

 

 ドバイの不動産の活況が高まっている。とうとう1.63$(239.0億円)でビラが成約した。

 

 

***ジャパン・トランスナショナル***

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<リモートワーク関連>

オフィス復帰:あなたのボスはあなたの在宅勤務の働きぶりを疑っている

(ウォールストリート・ジャーナル電子版 2022.10.20・木)

 企業の経営者達は「リモートワーク」を好んでいた事は無く、とうとう彼らの我慢の限界が近い。家での働きぶりに対する「疑念」は「不信」になり、在宅勤務の礼賛者達の話ももう信じられていない。オフィスでなら肩越しに覗きこみ、昼休みが長すぎる従業員に注意する事も出来る。「在宅勤務で働いているフリ」をするツールも様々ある。

オフィス復帰:オフィスワーカーはハイブリッド勤務を今後も望んでいる

 (フィナンシャルタイムズ電子版 2022.10.22・土)

 ドイツではオフィスワーカーの4分の1、イギリスでは5分の1がハイブリッドな働き方をしている。金融と事業会社が集中している地区ではオフィスへの復帰状況がなかなか高まっていない。

「経営者と従業員の関係」のニューヨークタイムズのコラムは馬鹿げている

 (ニューヨークタイムズ電子版 2022.10.21・金)

 (読者の投稿)NYTの企業経営者と従業員の関係をリバタリアン的とすべきだというコラムは納得しがたい。私の45年の企業経営の経験では「従業員の投入と企業経営者の決断をうまくバランスを取る」事が事業の成功につながる。労働者はノーリスクだが経営者と同等の発言力を持ちたがる。小規模会社の声にも耳を傾けるべきだ。

オフィス復帰:郊外に居住している人間はそのまま自宅で「リモートワーク」

 (ブルームバーグ 2022.10.5・水)

 リモートワークがされた場所は思われているのとは違って都市の内部や近郊の郊外部で、オフィスに徒歩で行ける自宅という事も多々あった。但し「エクソダス」が部分的に起き、郊外部の外側やや山岳リゾート地の住宅需要は急激に伸びてはいた。大都市のホワイトカラーの大部分は住んでいる場所でリモートワークをしていた。

オフィス復帰:サンフランシスコの中心部、まだ在宅勤務の影響が大きい

 (ブルームバーグ 2022.10.19・水)

 新型肺炎で北アメリカの諸都市の中心部から活気が消え、それは特にサンフランシスコでひどかった。今は旅行者等の活気は戻っているのにダウンタウンは未だに怖いほど静かだ。この静かさの原因は「みなは郊外で在宅勤務をしている」からで、雇用者中の35%が在宅勤務をし、最もそれが大きな地区では55%だった。

オフィス復帰:オフィスをタイムシェアで借りるテナントが出現

 (ウォールストリート・ジャーナル電子版 2022.10.24・月) 

 「ハイブリッド勤務」をオフィスにどう落とし込むかは難しい課題だが、「オフィス版タイムシェア」の会社が現れた。家具付きオフィス50ヶ所という会社から自社の勤務体制に合わせタイムシェアの様にオフィスを借りるのだ。ある会社は業務の全てをクラウドで処理、火曜と水曜だけを月6000$(88万円)で借りている。