筑駒(教駒)で私が受けた授業はこんなだった:『地理』

 地理は高校一年生の時の授業だが、来る日も来る日も「世界地図の各種の図法」の解説だった。高校から教駒に入学した私でも「これは地理の授業にしては変だな」と感じた。

 

 丸い地球を平たい紙に描くわけだから、目的に応じていろんな描き方ができる。帆船の時代の航海に便利なようなメルカトル図法や、面積が正しく表示されるようにする図法、円の中心点から目的地までの距離と方位を正しく描く図法、これらを一つにつき1時間ずつ、合計で1015くらいの図法を教わった。

 これは「数学」のような面があり、私は理数系が好きだったのでその意味では楽しい授業だった。

 一年の後半はマルサスの人口論だった。

 

 要するに「地理」らしい話は何も教わらずに一年が終わった訳だ。

 このせいではないと思うが、私は不動産会社に入社してから自分がひどい方向音痴である事に気が付いた。これは不動産屋としてはかなり重いハンディだった。

 

 もう一つ、障害となったのは東京大学の入学試験だった。理科系でも一次試験では社会科系の科目があった。しかし一次試験で落ちる訳がないだろうと楽観的に考え、地理も日本史も世界史も何も勉強しなかった。

 

 このような自信過剰はいかんと思い、入試の前の日に受験用の地理の参考書を見ていたらところどころに面白い事が書いてあった。ふんふんと言いながら読んでいたら、翌日の入試ではもろにこの部分が出た。しかしそこは東大、前日に一日だけ勉強して答えれるような問題のわけはなかった。