アメリカでは新型肺炎生活がほぼ終わり、消費者の購買パターンが激変してしまった。あおりを食らったのは小売店各社で、メイシーズやターゲット、ウォルマート、ギャップ等は売れ筋から外れた大量の在庫で溢れてしまった。
このままでは今の売れ筋を仕入れたくても倉庫に置くスペースがない。さらに港には以前に発注した、もう絶対売れないであろう商品が続々と陸揚げされている。
「予約制格安販売」で場所を取る大型の電化製品、アウトドア用品、ラウンジウエア等を売ったり、オフプライス店のTJマックス他へもタダ同然で卸してもまだ十分なスペースが倉庫や棚に確保できず、とうとう「リクィデーター」に依頼して一括・大量の処分をしている。
「リクィデーター」たちはこれらを、全米の1ドルショップや地方の小売店へ捌くつもりだ。
上の話が関連するには早すぎるが、2つの巨大モールがいよいよ危なくなっている。
一つはマンハッタンに近いニュージャージー州のメガモールのアメリカン・ドリームだ。開発資金のインセンティブでもあったと思われる地方債8億$(1090億円)について、利払いが満額されず懸念を呼んでいる。
もう一つはニューヨーク州中央部のシラキュース所在のメガモール、デスティニーUSAで、CMBS・2本合計3.4億$(462億円)の片方について、返済ができないという状態にいったん陥った。しかしデットの5年延長という猶予を受けた。
一般にモールはオンライン通販等の影響からかなり前から苦戦に陥り、新型肺炎で閉鎖なり来場客の激減という痛手を受けた。モール群が今後、前記の「大量の商品が格安で売られるようになる」事の影響を受けるかどうかは未詳だ。
最後に「物流倉庫」で起こった、相反する事態だ。
物流倉庫はEコマースの大拡大があって、新型肺炎下でも最も安全な不動産だった。
しかしアマゾンは、勢い余って倉庫を手当てしすぎ為、同社の全倉庫の約8%程度をサブリースかペナルティを払って事前解約して減らすとした。
一方、物流倉庫最大手のプロロジスは同業のデューク・リアルティを260億$(3.5兆円)・全部株式払いで買収するとした。プロロジスの方は物流倉庫事業に強気な訳だ。
新型肺炎後の世界は「いろいろな所が元には戻らない」ようだ。