中国の不動産危機は非常に根深いという話は以前からあった。
「銀行と市役所が絡み合って倒れる事態」になりそうな気がする。
中国では1978年からの改革開放政策時、「人民公社は解体しその保有地は市役所の土地とする」事にした。従って中国各市での飛びぬけた最大の地主は「市役所」となった。
市役所はこれらを区画割して公売に付し、大都市では不動産デベが落札してマンションとする例が多かった。
一方で市役所は道路や公共施設を造る際に市の外郭団体を設立、ここに借り入れも行わせた。これらが発展し、例えば「深圳メトロ」は地下鉄と不動産業を兼営した東急電鉄のような外郭団体だ。
これらは中国語では「融資平台」と呼ばれ、英語では「LGFV(地方政府金融ビークル)」と表記される。10数年前にも不透明で危ないと言われていたセクターである。
もともと、都市部の市役所の財源は所有地の公売収入によるところが大きかった。
今回の危機で不動産デベは公売での土地取得をしなくなり、このままでは市の資金繰りがつかなくなるはずだった。
今回まとめられた資料によれば、最近は公売で融資平台(LGFV)が落札する例が急増している。深圳市が最も多く公売の落札の約80%がLGFVだ。広州市で約70%、北京市で約37%である。
これらは「市の公売を市自身が買っている」のと実質的に同じだ。LGFVあてに出された資金は売り主の市役所に回るので、一種の迂回融資である。
バブル破裂時の1990年代、日本の銀行群も土地を使って迂回融資をし、別の融資先で焦げ付いた不良債権が回収できたかのようにして決算を取り繕ろうのが常態化していた。
中国の苦難は不動産セクターだけでは終わらないようだ。
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