ソフトバンクへ連続パンチ:クレディスイス訴訟、滴滴出行、アーム、アント汚職

 昨年12月初旬にソフトバンクが巨額保有する英アーム株の米エヌディビアへの売却がアメリカ政府により差し止めとなり、ソフトバンクは8-9%の急落となった。エヌディビアとの売買は現金・株併用で「株価部分」がその後高騰し、今ではありえない高値の売買となっていた。他への売却では遥かに安くなってしまう。

 

ソフトバンクにはそれ以降も大問題が続いている。

 

 アーム株売買差し止めの直前に、中国のライドシェア滴滴出行に対して中国政府がアメリカでの上場を廃止する様に命令した。香港市場で上場しなおして株を交換すればよいかと思われていたのだが、実際は上場できないか、相当無理な(安値な)上場になる可能性が高いようだ。滴滴出行はすでに昨年6月のIPOで得たキャッシュを食いつぶしており、中国政府は同社の株価を大きく下落させた上、超安値でソフトバンク他の大株主に売らせるつもりに見える。

 

 ソフトバンク最大の資産であるアリババ関連では従来からの問題に加えて金融のアントに別の大問題が起きた。杭州政府のトップとその弟が絡む、土地売買とモバイル支払いで汚職・贈収賄で、これをテレビ局の中央電視台が報道した。他にも何件かが絡んだ根が深い問題のもようで、本件は政争がらみで拡大し、ジャック・馬氏=アリババ=アントに大きなダメージが出るはずだ。ソフトバンク保有のアリババ株はさらに一段と下落するだろう。

 

 クレディスイスがソフトバンクと孫CEOへの訴訟に踏み切った事は、同行からソフトバンクへ出す本気の「縁切り状」だ。IT建設会社のカテラが原因で新興金融グリーンシルが破たん、クレディスイスのファンドに巨額損が出ていた。「ファンド」にはクレディスイスにとって重要顧客多数が出資していたために彼らに巨額の損が出ており、クレディスイスとしてもソフトバンクに法的なけりつける必要があった。

 以前からソフトバンクが裏で糸を引いた事件だとの噂が絶えなかった問題で、今回はビジョンファンドに留まらず、孫CEOまで訴えられている。ビジョンファンドは前にもワイアカードで不正のにおいがプンプンする取引をしているのだが、ワイアカード問題はヨーロッパでの一大政治スキャンダルになっていて、ソフトバンクの疑わしい取引にまで追及の手が回っていない。

 

 クレディスイスはビジョンファンドの成長を支えてきた。今後のソフトバンク=ビジョンファンドの成長にどの程度の障害になるのか、不明だ。

 

(2022.1.24追記)

 他にソフトバンクに関する問題な話としては、中国政府のIT会社規制がある。ソフトバンクは多数の中国のIT企業に出資しており、これらの香港上場が目論まれていた。ソフトバンクの中国投資は抜本見直しが迫られている。

 COOのクラウレ氏が報酬として1000億円規模の物を要求していて、孫氏とクラウレ氏は双方の弁護士を従えて交渉をしているとされる。孫氏が予定していた彼への報酬は数十億円程度で、これはソフトバンクが大赤字になった年にビジョンファンドのミスラ氏へ出した報酬と同規模だ。

 

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