マンハッタンで3年前にカタログ価格9300万$(106..0億円)で販売されたマンションが1.9億$(216.6億円)で転売された。3年で転売差益が110億円である。
物件の名称は「220セントラルパーク・サウス」、今回の取引はこの超高層マンションのペントハウスだ。売り主はファンドのトップ、買主は未詳。(2022.1.20追記)
状況を整理すると次のとおりである。
マンハッタンのほぼ中央にある広大な公園、セントラルパークは南北に細長い。この南の端に沿って東西方向に走るのが「セントラルパーク・サウス」という通りで、その220番地にあるウルトラ・ラグジュアリーな超高層マンションが今回の物件がある「220セントラルパーク・サウス」だ。
「ビリオネアズ・ロウ(億万長者通り)」と通称されるのは、このセントラルパーク・サウスから2本、南で、ニューヨークで近年建築ラッシュとなった「超高層・超高額マンション」はこちらの通りの方に多く建っている。(2022.1.17追記)
絵が一番わかりやすいと思う。どこかのサイトのコピペで、どこからとって来たのか分からなくなった。もしわかる方がいたら教えてください。
今回の220セントラルパーク・サウスは「アメリカ史上で最高額の住宅」があるマンションとしても有名だ。この物件の価格は2.38億$(271.3億円)、4つのフロアにまたがった住戸、「四層連結(クアドプレクス)」、2019年の成約である。ただしアメリカで言う「販売」は日本で言う本契約締結の場合と残金決済・引き渡しの場合があり、これらを通して「ディール」なり「契約」と呼ばれる。日本の契約と感覚が違うので注意を要する。
なおマンハッタンには二層連結(デュープレクス)は数多くある。三層連結(トリプレクス)はかなり少なくなるが珍しいというほどでもない。四層連結(クアドプレクス)になると非常に珍しく、トリプレクスの真下の住戸を買って連結する例が多い感じだ。ちなみにモナコには五層連結の超高額マンションがあるが長期間売れ残っている。インド人富豪がムンバイで建てたのは27層連結(というか27階建て)だ。
デベのボルナドがこのマンション1棟の分譲で得た利益は1000億円と言われる。
(関連ブログ)
「2.38億$(267億円)の超高額マンション売買がクローズ」 2019年3月8日ブログ
「ボルナド」 2019年4月15日ブログ
(2022.1.17追記)
ビリオネアズ・ロウ(億万長者通り)は57thだ。セントラルパーク・サウスは59th。
ちなみに「ビリオネアズ・ロウ」というのはニューヨーク以外のいろいろな都市や別荘地にある。全て、正式名称ではないニックネームだと思う。
図でひときわ大きい432Park Avenueで欠陥建築問題が表面化し、話題になっている。このエリアの「超高層・超高額マンション」の先駆けとなったのは157Westで、「One57}という名称の方が有名だ。最高価格の1.0047億$(114.5億円)は2014年当時としては度肝を抜く値段だった。
これらを見に行ったらついでにパーク内の「馬車」を見ておく事をお勧めする。ニューヨークの市長が代わり、この「馬車」がいずれ政治問題化して見ものになるはずだ。
(2022.1.20追記)
買主が判明した。ブルームバーグは記事見出しでは「アリババの共同創業者兼執行副会長のジョセフ・ツァイ氏のファミリー・オフィス」としている。アリババは中国当局から強烈な締め付けにあっており典型的な中国本土からの資産逃避なり逃亡先の確保の一環に見えるが、あまりにもあからさまだ。どうなんだろうか。