オンライン広告の費用対効果が悪化し実店舗の価値の様々が見直される。

 Eコマースに力を入れていた会社の中に「実店舗の価値を見直す」動きが増えている。実店舗での販売とオンラインでの販売を統合させて販売を図るところも多い。オンライン広告は出稿会社が増えすぎて、グーグルやフェイスブックの顧客獲得コストは膨らんでいる。

 

(末尾にEコマースと実店舗関連の記事)

 

 実店舗の小売りの中で新型肺炎から最初に復活したのは「屋根がないSC」だった。これは中小規模のショッピングセンターやストリップセンターが中心で、多くの場合はグロサリーが核店舗だ。小売り会社の配送センター・返品所としても機能している。

 

 「オフィス復帰」はトップや部門ヘッドは促進させたいと考えている人間が多い一方、スタッフは在宅勤務を希望する方が多い。しかしオミクロン株問題でオフィス復帰をさらに延期する会社が多く、トップの中にも「働き方」の再考の必要性を考え始める向きがある。

 

 同じ「シェアオフィス事業」なのだが、黒字のIWGの時価総額は巨額赤字を続けているWeWorkのそれの半分だ。規模ほぼ同じだが、より大きな違いはWeWorkからは成長に向けたエネルギーを感じるが、IWGはコストとかリースの様な(まじめな)話しかしない。

 

 マンハッタンのオフィス市場は供給過多やテナントの床減少=サブリース増加で不調にあるが、ハドソンヤードやSLグリーンのワン・バンダービルトの様なトップランクのハイエンドなオフィスは床が埋まっている。アメニティが評価されているともされる。

 

 マンハッタンのマンションでは「500-2000$(5.7-22.8億円)」の物件はニューヨーカー等に大変よく売れている。一方、「2000$(22.8億円)以上」のウルトラ・ラグジュアリーの物件の売れ行きはピークだった2015年の半分だ。外人投資家の不在が大きい。

 

 旅行の回復がまだら模様だ。総論的にはレジャー向けホテルがかなり復活している一方、都市のホテルはビジネス出張が復活せず不調なのだが、個別ホテルで状態は様々だ。旅行産業にとり中国人旅行者が不在な事が痛い。新型肺炎のオミクロン株の影響が懸念される。

 

 メタバースでリアルな世界での不動産と極めて似たビジネスが始まっている。既に「店舗」が成立し、デパートやモールもあり、更に「店を開くための」分譲地まで販売されている。

 

ソフトバンクは1兆円の自社株買いを発表済みだが強い逆風が吹いた。滴滴出行(アメリカでの上場廃止)、アーム(売却差し止め)、アリババ(株価の下落)だ。しかしIT不動産での出資先では悪い話は聞こえない。クラウレCOOは報酬20$(2280億円)を要求している。

 

 中国政府は不動産セクターへの資金的な締め付けを若干緩めた。恒大集団には政府も経営に直接関与しているが、フィッチは「部分的デフォルト」に落とした。どのような形に問題が発展するかは依然として読めない。佳兆業ほかでも問題が大きい会社がある。

 

 改めて中国のデベが抱える「不透明な負債の額」が問題視されている。理財商品、私募債等で、公募のドル建て募債についてのみを注目しているだけでは十分でない。

 

 ロンドンのオフィス市場の復調が確認された。似たような状況であるニューヨークに比べると市場にある「貸し床」の面積がかなり小さかった事が早期の復活につながった。

 

 ロンドンが「ダーティーマネーのハブ」となっている事について、非難が起きた。

 

 

***ジャパン・トランスナショナル 坪田 清***

    http://www.japan-transnational.com/

 

 

(「Eコマースと実店舗」関連の記事)

 

Eコマース会社:家庭用品のオンライン通販、実店舗3ヶ所をオープン 

(ウォールストリート・ジャーナル電子版 2021.12.7・火)

 昨年の売上げが141$(1.61兆円)だった家庭用品のオンライン通販、ウエイフェアは過去にも実店舗を実験しこの度、更に実店舗3店を開店する。買い物客は触って感触を確かめれる。オンライン通販の会社群は実店舗を持つ事のメリットを認識し、また新規顧客書く時の費用は実店舗の方がデジタルマーケティングより低い。

 

Eコマース会社:アマゾンが挑んでいるグロサリーの分野は予想外の場所 

(ブルームバーグ 2021.12.6・月)

 

 アマゾンは4年前にキャッシュレスの実店舗を初オープンしたが、「アマゾン・ゴー」はまだ30店しかない。同社のベソズCEOが力を入れているのは実は「実店舗」ではなく世界中の店舗の為の「オペレイティング・システム」の模様だ。「ジャスト・ウォーク・アウト」という技術はスターバックスやセンズベリー他でもう使われている。