恒大集団に関連して、「花様年(Fantasia)」のデフォルトが波紋を呼んだので下記にまとめた。
花様年は恒大集団の10分の1の規模だが、ドル建て債で猶予期間がないデフォルトを先日した。
このデフォルトが特異だったのは、償還するのに十分な手元キャッシュを花様年が持っていた事だ。つまり「返せる会社は社債を償還する」という、金融の世界では当たり前の常識が通用しないのだ。
花様年は当然その報いを受けるわけで、なんでまた「返せるのに返さない」ことを選んだのか、最も有力な説明は中国当局の不動産デベに対する借入規制だという。
花様年は、規制遵守を容易に達成するために「自分でデフォルトの道をわざわざわざ選んだ」という話なのだが、この説明だけでは了解不能だ。
デフォルトしたドル建て債は花様年のオフショアの法人が発行主体で、たぶんこの法人を潰しても、花様年の損失は僅かな額の資本金だけで済む形になっていたのだろうか。
この場合、ペーパー会社に対して親会社(この場合は花様年)が保証を入れていないことになる。
こんなのありか?という訳で中国のデベ各社のドル建て債は急落し、これらのドル建てジャンク債を多く組み込んでいるアジア・ハイイールド債も売り浴びせられたようだ。
まあ、よくわかりません。
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「「花様年<Fantasia>の突然のデフォルト」」
<<小型デベの花様年も社債の満期期日払いが出来ず>>
(ブルームバーグ 2021.10.5・火)
月曜日にデベの花様年が満期となった社債の返済が出来なかった。碧桂園系の不動産サービス会社も花様年あてのローンが月曜に返済されなかったとしている。低格付けのデベの社債利回りは急騰している。フィッチは花様年の格付けを数ノッチ下げてCCC-とし、S&Pは同社の長期債格付けをBからCCCへ落とした。
<<花様年が社債の支払いをせず>>
(ニューヨークタイムズ 2021.10.5・火)
ラグジュアリーなデベの花様年が外貨建て社債の支払いをしなかった。同社は第1四半期の契約販売数で60位、総負債は129億$(**兆円)と恒大集団の24分の1で、社債の発行額もはるかに少ない。
<<花様年が開けたパンドラの箱>>
(ブルームバーグ 2021.10.6・水)
花様年のデフォルトのショックは大きい。花様年はデフォルトをならない様にすうる為のキャッシュを十分に持っており、9月には自社株買いまでしていたほどなのだ。同社のデフォルトは赤字の事業に紐づいた社債で返済を守るインセンティブがなかったのだ。同社の社債の62%はドル建てで、これらは踏み倒される恐れがある。
<<誰にも分からない花様年や他社の私募債の規模>>
(ブルームバーグ 202110.8・金)
デフォルトをした花様年は「手元キャッシュで支払い可能だったのに社債返済を支払わなかった」事はショックである。私募債は海外のペーパー会社を組み合わせて発酵され、決算書から外されている場合が多い。HSBCは今後18か月で償還日が来る私募債の合計額を最低27億$(**億円)で実際はそれと多いだろうとしている。
<<花様年がデフォルトしたドル建て債を含め財務を見直しへ>>
(ウォールストリートジャーナル 2021.10.8・土)
小型デベの花様年は今週、手元にキッシュがあるのにデフォルトし中国の不動産デベのドル建て債多数の売り浴びせが起きた。一週間の国慶節休暇明けの金曜、同社の元建て債の価格も急落した。花様年は債務リストラのスペシャリストであるフーリアン・ロッキーと契約したが、同社は恒大集団の債務リストラも契約している。
「「海外投資家は後回しとなり、たぶん全額踏み倒される」」
<<恒大集団のオフショアの資産についての争いに債権者群が身構える>>
(ブルームバーグ 2021.10.9・土)
恒大集団のオフショア債券のうち25億$(**億円)を所有する6社は、経営破たんに特化した法律事務所と対応策の打ち合せに入った。恒大集団の上場親会社はケイマン設立、先日銀行株の大型売却で得た資金がオフショアの債権者には回されない可能性がある、当局が国内の債権者を優先しようとしている等、問題は複雑である。
<<「恒大集団は債務支払い遅延にまともに取り組んでいない」との指摘>>
(フィナンシャルタイムズ 2021.10.8・金)
恒大集団は9月23日と29日の二回、利払いをしていない状態だ。先週は盛京銀行の大口売却をし、今週は不動産管理子会社の売却話が起きているのに、債務支払い遅延問題に対して同社はまともな取り組みをしていない。盛京銀行株の売却で得た資金は盛京銀行からの借り入れの返済に優先的に充てられている模様だ。
「「中国当局、恒大集団問題の伝染封じ込めへ」」
<<政府は恒大集団問題の封じ込めを図り、同社の救済は図らない方向へ>>
(ブルームバーグ 2021.10.4・月)
中国の当局は大銀行に住宅購入者と不動産市場への支援を促す一方で、恒大集団が保有する銀行の株も購入してリスクを封じ込めたが、同社の直接的な救済への動きはない。政府が付けている優先順位は建設作業員への賃金、次に住宅購入者、その後納入業者とレンダーの順だ。銀行へは建設中の物件への支援の継続を求めている。
<<政府の指示で地方政府が恒大集団の資金を管理する体制へ>>
(フィナンシャルタイムズ 2021.9.26・日)
中国ではあるプロジェクトの売上げを他の資金に流用する事が許されているが、恒大集団についてはそれが出来ない様に一部の地方政府が乗り出した。広州市南沙区とマカオの近くの珠海市が売上金を政府勘定等に入れている。8月には他に8つの省が管理を求めている。恒大集団の停止したプロジェクト数は全土で数百ある。
<<恒大集団問題の封じ込めの為、マンションの竣工が最優先の支出先>>
(ブルームバーグ 2021.9.24・金)
当局は恒大集団の資金を特別エスクロー勘定に入れ、プロジェクトの竣工に向けた建設工事の為の資金支出を最優先とするように、傘下の地方の部局に指示した。これらは社債や銀行返済より優先される事になる。