オフィス勤務と在宅勤務を組み合わせる「ハイブリッドな働き方」に対しネガティブな意見が増えた。各自の業務等の調整が極端に面倒な上、在宅勤務の希望日が月・金に集中するであろう事や、オフィスか在宅かの選択権があると従業員間にかえって「差別」が広がる事も問題だ。「仕事に熱心でない人間が在宅勤務をエンジョイしている」という指摘もある。
スタッフをオフィスへ早期に全面復帰をさせたがっている大手銀行はアメリカに多く、週に何日かの在宅勤務を認めようとしている大手銀行はヨーロッパに多い。
ニューヨークのオフィス復帰率が全米中で最低水準である事の原因の一つは、地下鉄の乗客が少く犯罪の危険を感じ、ニューヨーカーがこれに乗る事(=通勤)に躊躇している事にある。市の警察や都市交通局は警備の増員等を図っている。犯罪発生率は高くなっている。
ニューヨーク市内では今年78ホテル、1.3万室の開業が見込まれている。市内のホテル市場は新型肺炎入りする直前には供給過剰状態だった。「新規開業ホテル」と「営業再開のホテル」の両方が開業へ向けて準備を進め、清掃係などの職種でスタッフが集まらない。
アメリカの商業不動産は昨年3-5月に11%下落した後、7月以降でもう7%上昇した。「利回りが相対的に高い事」が魅力で、家賃がインフレでスライドする物件が好まれている。
リゾート地ブームで一部のリゾート地では売り物件が払底した。人気の別荘地・ハンプトンズは夏のシーズンだけではなく通年で楽しもうという動きが大きい。また、従前の「郊外(サバーブ)」よりさらに遠隔な「エクスバーブ」でも売り物件が払底した。
新しい形態のフリッピング(住宅の短期買取り転売)が増えた。手がけているのはジロー、オープンドアといったIT不動産会社で、アルゴリズムにより割安な物件を選別して買取り、修理して転売する。しかしまだ継続的に利益を上げるビジネスになっている会社はない。
ハワイはアメリカの中でも独特なポジションにあるが、4月下旬のホテル稼働率は49%にまで復活した。しかし全米平均の57%よりはまだ、低い。
ソフトバンクが4.99兆円と日本史上最高額となる利益を計上した。昨年発表した自社株買いもほぼ終了した。同社はIT不動産会社多数に多額を出資、投資が実った例も多い。
中国の住宅市場の上昇が「制御不能になってしまった」と言われている。一部の市で試験的に導入済の「不動産税」を本格的に導入して市場の冷却を図る事が検討されているが、不動産税を導入すると富裕層や権力者の一族の住宅の大量保有が明るみになってしまう。
香港の不動産市場にはいい話がなく駐在員の撤退で家賃が下落している一方で、住宅売買件数は倍増、中古住宅市場は23年ぶりの高さへ向かっている。香港の不動産市場は過去数十年間、イベントのたびに崩壊すると言われながらも、そのたびに不死鳥の様に蘇った。
ロンドンではデベたちがオフィスに対して信じられないような強気さで投資をしようとしている。築年が古い中古ビルは「グリーンさ」の点からも人気がなく空室が多いが、長期リースを結んだ優良なビルには人気がある。モールやホテル等よりもオフィスの人気が高い。
スペインは旅行先としては「割安」というイメージがあったが、相次ぐハイエンドなホテルの新規オープン、大規模改装オープン、それらの予定で、様変わりしそうだ。
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***ジャパン・トランスナショナル 坪田 清***