通説とは逆で、マンハッタンのオフィス市場では7年以上の安定した長期リースを探しているテナントの方が現在は多い。リモートワークをフルタイムで行うとか安い家賃の物件へ移転して賃料負担の軽減を狙うという考え方は、ワクチン普及とともに縮小された模様だ。
「長期リース」が好まれるのは短期のリースだとすぐに期間満了となり、その時点で家賃が大きく値上がりしてしまっている可能性があるため。家賃コストをなるべく長期にわたり確定しておきたいというニーズの方が多いわけだ。
これに従うと、市場に多く出てきたサブリースの床はリースの残存期間が短いので嫌われているはずだ。巷間よく言われているオフィス賃料の下落は良いビルも悪いビルもごちゃまぜにした数字で、今後は長期リースが可能で優良な床は、取り合いが起こりかねない。
しかし「オフィスの将来」という議論は今も続いている。主流は「ハイブリッド」だが、会議に「ホログラムにより参加する」というアイデアもある。一方、日本でもてはやされた「ジョブ・デスクリプション」は状況が急変した時には使い物にならないとの批判がある。
オフィス復帰が近づき、在宅勤務で可能だった「昼寝の時間」がなくなる事を嘆く人や、不安・恐れ・パニックに襲われている人がいる。オフィス復帰がなされてもビジネス街はもう昔の様には戻らないという意見と、なんの支障も起きずに元の様に戻るとの意見がある。
新型肺炎でマンハッタンから脱出した人の行き先を解析すると、近接する周辺地域といった近場への移転が37%と最大で、次にハンプトンズを中心とした地域の14.6%だった。フロリダは富裕層の移転が多くて目立ったが、4.4%に過ぎなかった。
メガモールのアメリカン・ドリームのデフォルト関連の続報があった。
「新型肺炎でホテル等の商業不動産が投げ売りされる」事を見込んでファンドには2500億$(27.5兆円)という超巨額の即投資可能な資金が積み上げられているが、今のところ「投げ売り」は発生していない。特に「ディストレスト向け」の資金は不振による投げ売りがほとんど現れない為に投資の機会がなく、準備していた側は大きくあてが外れた。
イタリアン・レストランチェーン大手のオリーブ・ガーデンは3月中旬の売上げが前年比で5.7%増となり、レストラン・ビジネスの復活が間近である事を印象付けた。
グロサリーのオンライン販売化が進み、投資対象としての「冷凍倉庫」の人気が高まっている。業界の大手は2社だがまだ規模は小さい。冷凍倉庫ビジネスは初期の設備投資費用が通常の倉庫に比べて非常に大きい事もあり、意外と難しいビジネスだ。
中国当局は金融システムの不安と住宅価格の高騰を抑えるために以前から各種の手を打ってきたが有効打とならず、今度は融資額そのものの規制を導入した。上海や深圳といった沿岸部では年初から住宅販売が急騰しているが、地方では市場がクラッシュした所もある。
イギリスで新型肺炎下の景気維持策として導入されたスタンプ税の時限的非課税措置は3月末の期限が延長され、3月の住宅売買は非常に活発となった。なお住宅価格の動向については3つの発表主体で上昇中か下落中かが分かれており、価格の状況はわからない。
世界のOECD加盟国で住宅価格が高騰中となっている。具体的にはアメリカ、オランダ、中国(深圳等)、ニュージーランド、オーストラリア(シドニー)、カナダ等が上げられる。
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