世界のメディアの間では日本の検察制度は非常に問題があるという事ですでに一致していて、国際団体も厳しい批判書を公開している事は前にこのブログで書いた。
カルロス・ゴーン氏の裁判は日本の司法手続きが持つ問題点なり人権軽視の実態を世界のメディアが検証する、非常に分かりやすい材料になっている。
今のところ、日本の検察の手法に対して最も厳しい立場をとっているのは、私が読んでいる英字紙6紙の中ではフィナンシャルタイムズという状態だ。
ところがだ。
この事件なり裁判なりは実は「大まじめにやっている笑い話」なのではないかと思わせる部分が時々ある。どうみても「変」なのだ。
今回出てきたのはフィナンシャルタイムズの記事にある日産のハリ・ナダ氏(法務部門の前ヘッド)の証言で、その中にこんなのがある。
「ゴーン氏が家族で世界周遊旅行をする際に日産の旅行子会社を通じて(航空券の)予約をしたのだが、ゴーン氏はオンラインで予約した方が安かった事を(あとで)知った。ゴーン氏は日産の旅行子会社に(差額の?)返金を要求した」
とあるのだ。さすが「コストカッター」の面目躍如だ。
しかし彼は日本一高い役員報酬を得ていた訳で、この話は裁判所での証言でなければ、どう見ても酒の席での笑い話だ。
ほかにもいくつかあるが、私はこの事件では裁判所や検察の方々が気の毒になってきた。
日本の司法・検察制度に問題があるかないかという高尚な話はさておき、検察官も裁判官も「チケット、高く買わされたから差額を返せ」みたいな話にまで、かかわらなくてはいけないのだろうか。
おまけにこれが世界中のメディアによる厳重な監視の中でなのだ。
裁判の関係者は「これから漫才を聞かせるが、絶対に笑うな」といわれているようなもので、これではロボットかサルになるしかない。
だいたい大型楽器用(?)のケースに入ってプライベートジェットで日本から脱出するなんて、誰かがゴルゴ13のファンだったとしか思えない。
検察はこの時点で、ゴーン氏を笑ってゆるしてあげればよかったのだ。
プライベートジェットを操縦した人間を割り出したので引き渡せなんて話でアメリカに借りをつくっては損だと思う。
うまい幕引きはないものだろうか。