中世ヨーロッパでは学者たち上流階級はラテン語の読み書きに通じていればコミュニケーションに不自由しなかったそうだ。
EU内ではフランス語とドイツ語のどちらかを用いて議論や折衝をするとかどが立つわけで、もともと日常的には英語がかなり幅を利かせていた。
この点、2016年のブレグジットで当時、一番喜んだのは、英語がほぼ母語であるアイルランドだった。彼らはイギリスがいなくなった後は言語的には我が世の春が来ると思ったのだ。
ところがそれから4年、状況が変わってしまった。フランス人やドイツ人を始め、EU関係者はほとんどが英語をすらすらしゃべれるようになってしまった。
「すらすらしゃべる」というのは英語で「コーヒーショップでコーヒーを飲みながら話せる」というのを私し流に訳した表現だ。
確かに、仕事でしゃべる英語より、こっちの方が難しい。
そこで今後のイギリスだが、ブレグジットからの影響をどう受けるか、見方が真っ二つだ。
イギリスに対して最も楽観的というか、イギリスはなんとかうまくいくだろうとの希望的観測を最も強く持っているのは英フィナンシャルタイムズで、年末と年始に長文の記事を載せた。
一方、他のメディアでは悲観的見通しの記事の方が多い。その中の一つが上の「英語」の話で、EU内でイギリスがその経済的な実力以上の地位なり影響力を持てた大きな理由の一つが「英語」だったのだが、今後はその優位性も失うという指摘だ。
イギリスがEUから出ていけばお互い「外国語」同士であり、遠慮なく忌憚なくやりあえる。
ちなみにイギリスでは非常に古い制度が今でも現役のことがあるのだが、それに問題が起きた時には「古英語」にさかのぼって法律争いがされるという。
EUでは今後はアイルランド人のなまった英語で解釈される事になるのだろうか、イギリス人の英語を参照しながら解釈される事になるのであろうか。
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