新型肺炎下のマンハッタンの住宅市場の現況だが、売買市場と賃貸市場で状況が全く異なる。売買価格相場はさほど下落していないが、賃料価格相場は急落している。
この現象は次のように考えられる。
新型肺炎であわてて郊外に脱出した人間は、持ち家の場合は値引いてまでは売ろうとせずにそのまま保有し、賃借していた人間は解約した。
その結果、売り物件はさほど増えず売買件数も減少、売買相場価格はまだ微減に留まっている。一方、賃貸住戸は供給が増え、また新型肺炎下で新規の賃借人は非常に少なく、賃料相場は急落したというわけだ。
一方、最も調子が悪いのは日本円で4~5億円以上の新築ラグジュアリー・マンションだ。いろいろなコンセッション(値引きや不動産税・管理費の肩代わり等)を付けてもなかなか売れない。新型肺炎前から供給過多だったのだが、まだ「底」が見えていない状態である。
マンハッタンからの誇張して言われている面もあるようだが、脱出者数が多かった。
実際、郊外部の住宅の売買件数は大きく上昇、日本人駐在も多く住むウエストチェスターは戸建ての価格が高くなりすぎてマンションにまで人気が出ているほどだ。
ところがこのような郊外への転居を「新型肺炎のせい」と一概には言えない面がある。
マンハッタンのマンション(集合住宅)には「1LDK」「2LDK」も多い。
このような狭い住宅で幼児がいる、あるいは子供を持ちたいと考えていた夫婦が今回、郊外の住宅への引っ越しを「前倒し」にした面がある。需要の先食いは概ね3年分だ。
また「郊外居住」や「在宅勤務」はメリットばかりが報じられている面があり、これは一種の「ハネムーンと似た現象だ」と揶揄され始めた。
例えば、郊外居住は退屈なのだ。やはりマンハッタンが懐かしい。またオフィス復帰が本格化すると、とんでもない通勤地獄となり、電車はいつ来るかわからずマイカーは大渋滞にはまる事が目に見えている。学校に問題がある場合もある。
ついでに言えば、郊外の住宅地は意外にも騒音がうるさい。季節により、芝刈りや道路の落ち葉の除去を業者に頼むと大型のプロ用の機械が使われこれが毎日、隣近所でウンウン言っている。
ということで、マンハッタンの住宅市場はどうなるのでしょうか?
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