カルロス・ゴーン事件では「日本の司法制度には重大な問題がある」という事で海外メディアの間では合意ができてしまったという話は以前、書いた。
先日は人権問題の国際組織からも手厳しい意見が出ている。
厚労省の村木厚子氏の冤罪・検察による証拠捏造事件も、海外で知られている。
どうも、中国政府の香港の活動家の逮捕・投獄と、日本の検察によるカルロス・ゴーン氏の逮捕・投獄の間には大差ない話だと見る人も海外にはいるようだ。
あの「中国」と「日本」が感覚的には同じだというのだ。
さらに中国の場合は反政府活動家や自分の地位を脅かす敵対派がターゲットであり、その意味で分かりやすい。
その点、カルロス・ゴーン氏は政治的にも金額的にも(世界水準で見ると)大した話ではない。それなのになんだ、このわけのわかない厳しさは、というのもある。
海外からの見方はなかなか深くて興味深い。
カルロス・ゴーン氏に関する検察の手続きは、実は通常の日本人の場合と変わらない。
証拠を固めた微罪で逮捕し、取り調べにより罪状を拡大して勾留期間を延長、集めた証拠のうち検察が作り上げたストーリーと合致するものだけを残す。
この間、検察幹部は例えば常習的に賭けマージャンをする仲の新聞社の人間に先のストーリーが想像できるようにヒントだけを巧みに教え、そのヒントから新聞が特ダネを連発する。
面会に来る人間は作り上げられたマスコミの報道をみな信じ込んでいる状態になる。当初は取り調べに抵抗していた被疑者は家族すらからも信じてもらえず、抵抗の気力がなくなり検察の思うツボとなる。この間がたぶん一年半の投獄生活なのだろう。
フィナンシャルタイムズが指摘していたのは、このような形で微罪で逮捕された時、取り調べに抵抗すれば孤立無援となった上に一年半も投獄されるくらいなら、軽い量刑なら冤罪でもいいから早く認めてしまおう、あるいはそもそも微罪も絶対に犯すまいという心理に日本人はなっているのだという。
これが日本の社会が治安が良い原因の一つにもなっているとの指摘だ。
こんな事、イギリス人に指摘されるとたじろぎます。