中国で国営・省営企業を含む大手企業のデフォルトや債務返済行き詰まりが増えている。問題はこれらの企業は国内の格付け会社により皆、「AAA」が付いていた事だ。格付け会社の中には巨額の賄賂を受け取って高格付けを与え、起訴されている人間もいる。
ソフトバンクには英字メディア受けする話題が多すぎる。今回はナスダックのクジラ(巨額デリバティブ投資)の失敗、自社の非上場化の検討、疑義があるSPAC(特別目的買収会社)制度の利用が話題になった。SPACに今頃手を出すのは目先で儲かったとしても愚だ。
Airbnbの新規上場は大成功が過ぎ、ITバブルの再来懸念を生んでいる。IPO価格の68$に対して上場初値は146$で、時価総額は872億$(8.98兆円)となった。これはアメリカの三大ホテル会社の時価総額の合計よりも大きい。
新型肺炎のワクチンが承認とのニュースでホテルの予約が急増し、ホテル株を含めた不動産株全般が上昇した。しかしホテル経営自体はまだ苦しく、マンハッタンのラグジュアリー・ホテルは軒並み閉店か低稼働だ。ブルックリンではホテル2棟が破産申請した。
大手におけるオフィスコスト削減の動きとしてはゴールドマンサックスが非中核部門の一部をフロリダに移転へ、ドイツ銀行がニューヨークの行員を移転させて半減へ、ユニリーバはニュージーランドで週4日勤務体制の導入等がある。
新型肺炎の再燃でスタッフのオフィス復帰が止まった。トップがオフィス復帰を本格化させようとしているタイミングに重なってしまった。10大都市でのオフィス復帰率は調査機関により異なり、24.78%から21.2%である。ニューヨークは14%と都市別で最低。
生命科学企業向けのビルが投資対象として人気が高まっている。水道・排水・換気等の設備が特殊だ。また実験用に使われるためにスタッフはビルに出社せざるをえない。
マンハッタンのラグジュアリー・マンションは新型肺炎前にすでに10-20%程度の価格下落をしていたが、さらに10%引きやクロージング費用サービスなどにより買い手が戻り、底が見えてきた。買い手に海外投資家はなく、地元民が中心だ。
今年のホリデーシーズンでは実店舗型小売店もEコマースに乗り出し、好調な販売となりっている。問題は予想される大量の返品だ。通販では実店舗での販売の場合より返品される比率が高く、また返品処理は手間やコストがかかり大型の家具や家電は置き場にも困る。
2020年のアメリカの高額住宅取引上位10傑がまとめられた。5戸がマンハッタンのビリオネア沿いの超高層・超高額マンション、220セントラルパーク・サウス内の物件だった。
イギリスはクリスマスに変種の新型肺炎拡大、ブレグジット、3月末のスタンプ税時限的非課税制度の期限切れ間近といった話が一斉に重なり、大忙しである。
ブレグジットでロンドンは国際金融センターとしての地位を失うのではとの懸念が以前、もたれていたが「エクソダス」はまったく小さな流れにしかならなかった。
珍しく大陸ヨーロッパ各国の不動産のニュースが多い三週間だった。取り上げられたのはパリ、ローマ、スペイン、スカンジナビアだが、なぜ記事が集中したかは不明。
***ジャパン・トランスナショナル 坪田 清***
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