ここ10年くらいで見て、アメリカの不動産投資で最も値上がりが大きかったのは「超豪邸」ではないかと思う。
「超豪邸」というのは私の造語で、日本だと「岩崎邸(台東区)」とか「鳩山御殿(文京区)」と似た一戸建てのウルトラスケールの豪邸だ。
ほかにも一戸で100億円とか250億円のマンションとか、東京都の面積くらいある大牧場+母屋(ランチ)も超豪邸に入れている。
どんな値上がりをしているか、手元の資料で2件ばかりご紹介しよう。1$=103円で換算してある。
どの売買もごく直近に起きたものばかりだ。
フロリダ州のパームビーチで4819万$(49.6億円)で売買された物件は昨年3289万$(33.9億円)で売買されたばかりの物件だ。
別のパームビーチの物件は3600万$(37.1億円)で売買されたが、2016年に売買された価格は2300万$(23.7億円)だ。
たまたまパームビーチの物件が重なった。
直近、ニューヨークの富豪たちが新型肺炎の第二波を前に、暖かい別荘地がよいとしているため、フロリダの別荘人気が高まっているという面はあるが、ほかの場所でもびっくりするくらいの値上がりしている。
こういう「超豪邸」を世界で買い集めているのがファンドのシタデルの経営者のケン・グリフィン氏で、5年間で総額10億$(1030億円)を買ったとされる。
2年くらい前だが、同氏は年収も10億$(1030億円)とされていた。自社で運営しているファンド群にオプションで利益参加権を設定しておくとこれくらいの年収になるらしい。
しかしケン・グリフィン氏のこれらの超豪邸の買い集めの目的ははっきりしない。たぶん純投資だろうが。
ちなみに直近の超豪邸市場に起きている異変だが、これらを買うド金持ちの中に巨額のモーゲージ(ローン)を使う人間が増えた。またすでに保有している超豪邸を担保にして巨額のモーゲージを借りる富豪も出てきた。
モーゲージ金利が今は史上最低水準なので、これで調達してほかの投資へ回すわけだ。
この手の物件への投資は日本人には向かないと思う。
所有者がこれらを賃貸に出しているという話はあまり聞かない。もう少し小さめのものだとニューヨーカーに人気の別荘地であるハンプトンズで「家賃が月1000万円」という物件がいくつかあるが、ハンプトンズ以外にそのような市場があるという話は聞かない。
したがって貸すことは難しく、管理を管理会社に委託するか管理人(集団)を雇うかだろう。
それにしたってたまらんと思うのは、上記の「パームビーチで4819万$(49.6億円)」の物件は「(トイレ付きの)バスルーム」が15ヶ所、「(風呂がない)トイレ」が3ヶ所もあるのだ。なんでこんなにあるのか、間取り図を見たいものだ。ちなみにベッドルームは11部屋である。
これでもまだかわいい方で、ビバリーヒルズで100億円というような超々大型の物件では、売主の奥さんがこれを売ることにした理由として「住んでいて疲れるから」と言っていた。何をするにも陸上トラック一周分を歩かなくてはいけないので、疲れてしまうのだそうだ。
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