オルタナティブ不動産投資/学生寮・自用倉庫・モービルホーム

 「オルタナティブ」という言葉が不動産ビジネスで広まったのはせいぜいここ10数年だ。利回りを狙った不動産投資の中でメジャーなもの以外への投資を指す。「メジャーなもの」とはオフィス、賃貸マンション、モールで、ホテルや物流施設もメジャーとなった。

 不動産投資をする大型の機関投資家側にとりメジャーなもの以外はマーケットサイズが小さいので、投資を振り向けない。このため、中規模以下の投資家が「オルタナティブ不動産投資」が資金を振り向け、相対的に流動性は低くなるがリスクの割に利回りが高いので魅力だ。

 

 何を「オルタナティブ不動産」と呼ぶかについては、各社まちまちで包括的な定義はない。あげればキリがないくらい、多種多様なものがあるのだ。

 

 直近で話題になった、3つをあげてみよう。

 

 まず「学生寮」だが、これは民間が経営する大学の寮だ。大学の寮は相部屋が多くてあまり清潔ではない為、このような民間の学生寮に需要がある。投資としては手堅くて利回りも高いので人気だったのだが、新型肺炎で暗転した。授業がリモートになり、学生たちが帰ってしまったのだ。新型肺炎を避けようと大学の汚い寮から移る学生もいるが、埋め合わせにはなっていない。

 

 次は「自用倉庫」だ。これは倉庫番ではなく自分で出し入れする倉庫で、コンテナを並べただけのものから立派な建物を区切ったもの等、いろいろある。9月にカナダのブルックフィールドが13億$(1380億円)で売却した自用倉庫の会社は、120ヶ所で展開していた。単純計算では1ヶ所11.5億円になる。

 

 最後は「モービルホーム・パーク」で投資家の間で現在、人気が急上昇中だ。

モービルホームというのは窓を付けたコンテナの中に風呂、トイレ、キッチン、ドア等を工場で作り付け、そのまま大型のトレイラーに乗せて運ぶ住宅だ。一般に安価というイメージが強い。この据え付けに特化した団地がモービルホーム・パークで、全米に大小さまざま、3.8万ヶ所ある。

 パークの所有者は各区画をモービルホームの所有者にリースする。従って投資家がこれらのパークに投資すればリース料(借地料・使用料)収入が得られる。賃貸用不動産のなかでは最も手間ひまがかからないものの一つというのも人気の理由だ。

 モービルホーム・パークに特化したリートが2本あるが、パークの現物売買も増えている。

 

「グローバル不動産経済研究会」資料会員募集 月額1万円(+税)

問い合わせ ジャパン・トランスナショナル f-ree@88.netyou.jp