〇イギリスでは新型肺炎により「グロサリーのオンライン販売」が急増したが、各社とも利益が付いてこない。自宅まで配達する場合、オンラインで注文した品物を店舗に設けられた専用の受け渡し場で受け取る場合とも配送費がかなりかかるのに、「配送無料」として広まってしまっている事による所が大きい。
〇イギリスではロックダウン明け後の不動産市場の活性化のために、大半の「スタンプ税」の課税の停止期間を来年3月末まで延長する。「スタンプ税」とは日本の「印紙税」と似た語感があるが実際は「不動産取得税」に近く、また政策目的に応じて柔軟に税率が変更される。
〇三井不動産の業績・株価見通しがフィナンシャル・タイムズのコラムで取り上げられた。東京都心部への集中過多と空室率が上昇傾向に入る見込み等を問題点としている。
〇WeWorkのクラウレ会長は、「同社が1年後には黒字化する見込みだ」と驚きの発言をした。大規模なリストラで人件費を大幅に削り、多くの家主との賃貸条件の改定に成功した上、(当初とは反対に)新型肺炎で企業からも個人からも需要が増えている。親会社のソフトバンクは巨額の自社株買い、出資先が相次ぎ新規上場する等で株価が大幅に上昇している。
〇当初、礼賛する向きが多かった「在宅勤務・リモートワーク」だが、本当に持続可能な業務スタイルなのか、疑問が膨らんでいる。部下の管理が難しい、同居者のために集中できない、つながりが弱まる、情報セキュリティへの懸念等の角度から問題点が指摘されている。
〇特にニューヨークやサンフランシスコで、都心居住から郊外の大きな一戸建てへの移住者が増えている。新型肺炎の危険を避ける為やリモートワーク用の部屋が持ちたいというような希望も多いが、庭付きの広々とした住宅は良いと改めて感じている人もいる。
〇「旅行」はどこの国でも「近場への旅行」から復活している。ロンドンでは近場のリゾートの宿泊施設は、取り合い状態だ。ホテルは「アメニティ」のあり方を見直している。しかしせっかく緒につき始めた旅行の復活だが、新型肺炎第二波で腰を折られる可能性がある。
〇モールは依然として苦戦が続いているが、特にトリプルファイブ(カナダ本拠)の2つの超巨大メガモールのつまずきはショックだ。一方、オール大手のサイモン・プロパティ等は大口テナントが退去したモールに対して積極的に改修や追加投資し用途変更も図っている。
〇中国は米中対立の先鋭化や香港問題、豪雨被害に襲われているが、不動産市場も様子がおかしい。特に住宅市場で起きているバブルは、アメリカの2000年代のバブルより大きいとされ、懸念がもたれている。オフィスの空室率も主要都市では20%に上昇した。
***ジャパン・トランスナショナル 坪田 清***
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