ドイツ銀行の時価総額を越した事もあるフィンテックのワイアカードで巨額の資金が行方不明になっている(帳簿が粉飾されていた)。19億€(2280億円)の預金先とされた銀行が「そのような口座は当行には存在しない」としているのだ。同社は存亡の危機に陥っている。
ワイアカード関連ではソフトバンクが絡むまか不思議な話を昨年11月にフィナンシャルタイムズが報じた。
以下はその時「2019年11月16日付」の私のブログだ。
*******************************
ソフトバンクには奇妙でよく分からない話が多いのだが、また変な話が出た。
以前、当ブログでアメリカでは孫氏は「金満なピエロ扱いだ」と書いたが、もしかすると孫CEOはワンマンなのではなく、ソフトバンク内部でもピエロなのかもしれない。
今度の話はドイツの上場フィンテック会社、ワイアカードをめぐる話だ。
「10億$(1080億円)」を用意して資金注入すれば確実に大儲けできるという状態があり、ソフトバンク関連のファンドがこれを突っ込み、思惑通りにほとんど瞬時に大儲けした。ところがこのファンドにはソフトバンクもビジョンファンドも資金を全く出していなかった。それどころかアブダビから多額の資金を引いて、それに相乗りする形でソフトバンクのエグゼクティブたち個人が出資をし、その各個人も同時に大儲けしたようなのだ。
大儲けした個人としてあげられているのは
ソフトバンク関係:ミスラ氏、クラウレ氏、佐護勝紀氏
ビジョンファンド関係:ナヘタ氏
いずれも大物だ。また孫CEOは出資していないらしい。出資者は他にもいるらしい。
なんだこれ?――ファンドに役員個人が出資することはよくある話だが額がでかすぎるし、「おいしい話の役員同士での山分け」にしても度が過ぎる。
*******************************
今回はブルームバーグやウォールストリート・ジャーナルもこの話を蒸し返している。 当然、ソフトバンクなり孫CEOも厳しく批判されている。
ただしソフトバンクのこのディールと今回、消失が露呈した19億€(2280億円)には関連があるのかどうかわからないが、記事の書き方から見ると関連しているかなり疑っているようだ。
ソフトバンクなり孫CEOは英語に堪能だと思うので、英字メディアでの書かれ方によりいかに自分たちがいかに危険な状態であるかは理解していると思う。巨額の赤字決算の他に、同社には大小さまざまなあまりにも変な、あるいはやばい記事が多すぎる。
普通なら見過ごされるような話でも、各英字メディアとも「ソフトバンクに関する悪い話なら小さな話でも必ず載せる」というスタンスだ。
特にビジョンファンドのトップのミスラ氏はひどく書かれ、人間性の批判も含めていずれどこかがミスラ氏の「悪事」を大特集をするのではないかと想像する。
いずれにせよソフトバンクにはリュピテーション・リスクがかなり高まっているわけだ。
よくあるパターンだが、個別の話にはへ理屈がついてセーフのつもりなのに全体としてはアウトとなりかねず、何かがもう一つあれば、財務リスク、つまり株価や社債価格が暴落しかねない。
孫CEOはWeWorkのニューマン氏やオヨのアガルワル氏を信用し過ぎて1兆円単位の損を出したが、同時にミスラ氏ほかの社内の人間も信用し過ぎた。こちらの損失は数兆円から20兆円程度の規模になるだろう。
とんでもない爆弾だ。