手持ちのお金を食いつぶしているだけで、倒産は避けられないと思われていたWeWorkだが、意外な状況変化の恩恵を受けるかも知れない。
それはオフィスでの「社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)」という話だ。
不動産仲介大手のクッシュマン&ウェイクフィールドがこの「社会的距離」を遵守したオフィスのモデルルームみたいなのをアムステルダムに開設、メディアにオープンした。
一言で言って、「こりゃだめだ」である。頭ではわかっていたつもりだったのだが、「机と机を離す」にしても何にしても、いざ現実に落とし込むとお話にならない。だいたい、こんなに離れていたのではオフィスに集まる意味がないではないか、というシロモノなのである。
マンハッタンの大手銀行でオフィス再開の準備が進んでいるが、6月とか7月にオフィスに復帰できるのはスタッフのわずか10%だ。金融業界全体で見ても、12月末までのオフィス復帰率は30%程度と見込まれている。
オフィス再開に想像を超えた手間ひまがかかるため、注目されるのがWeWorkだ。オフィスに収容する順番が回ってこないスタッフに、ここで働いてもらおうという需要がかなりありそうだ。
これはWeWorkにとって神風だ。
新型肺炎問題の当初、WeWorkのようなコワーキングはまっ先に嫌われた。接触を恐れてだれもWeWorkのオフィスに来て仕事をするようなことはせず、メンバーシップなり小規模オフィスのキャンセルばかりだった。
同じ新型肺炎問題がこんどは上のような話からプラスになるかもしれない。
「禍福はあざなえる縄の如し(幸福と不幸は変転するものだ)」
なお親会社のソフトバンク、英字メディアでの記事の本数は圧倒的に悪い話の方が多い。
今日もソフトバンクが5億$(540億円)をクレディスイスのファンドに出し、それが英の融資会社のグリーンシルやホテルのオヨや自動車のサブスクリプションのフェアといったビジョンファンドが出資する経営不振な会社に流れているとすっぱ抜かれた。要するににわかにはばれないような形で自分の投資先に追い貸ししていたのだ。
ビジョンファンドのトップであるミスラ氏については各メディアが入り乱れて断続的に悪い話を書いている。ソフトバンク内の人間関係についてもひどい話がもれ、もう孫CEOはミスラ氏をはずして陣頭指揮をとるしかないように見える。孫CEOは「フォース」だかなんだか知らないが、もうそんな冗談を言っている状況ではない。
ちなみにソフトバンクのアリババ株の(実質的)大量換金ではオプション取引2本とカラー取引1本を使った。(またみずほがリスクを取っているのだとしたらみずほは本当に大丈夫かという事になる)ソフトバンクはこういう魔術のような話や税の抜け道探しのような話が「異様に好き」だ。ビジョンファンドではミスラ氏とドイツ銀行出身の一派が盛大に取引を複雑化して、自分たちを解雇できないようにしてあるのだろう。
きっとソフトバンクという陣地の内部にビジョンファンドというミスラ氏一派が作った陣地がある状態だと思う。もう「王手飛車取り」となっている可能性が高いが、ソフトバンクの方々にはビジョンファンドを原因としてこれ以上、日本の国富をドブに捨てるようなことはやめてほしい。
1兆円を海外に向けてドブに捨てると、それは国内の年収500万円の20万人分なのだ。
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