私はこうやってTOEICの点を100点、上昇させた

 会社員時代のある時、突然人事部が全社員に「TOEICを受けるように」というお触れを出した。私は当時、英字新聞を毎日チェックすることをルーティンの一つとしていたので、まあ900点くらいかなと、軽く考えていた。

 当日、驚いたのは解答用紙の巨大さで、私はマークシート世代ではないのでドギモを抜かれ、これを見ただけで疲れが出てきた。ちょうど50代半ばで不摂生を重ねていた時期で、始まるとやはり体力的に最後まで持たなかった。

 

 結果は730点で、これでは英字新聞をチェックしている立場としてまずい。

 過去問・CD付き3回分というのを買ってこれをやった。

 なんだと思ったのは、「以下の文を読んで(聞いて)どうこうしなさい」という部分がすべての回で同じなのだ。本番ではここは読まなくて済んだので、随分と楽になった。

 さらに問題文には似たようなシチュエーションがやたらに多い。「池のそばでどうたら」「なになにが起きたので彼女は駅に行く」みたいなのが毎回少しずつ変化して出てくる。

 

 これをやっただけで100点上昇し、830点になった。もうちょっとほしいなと思って、もう一度受けたら875点になった。これでもういいやと思い、875点が私のレコードとなった。

 

 TOEICの英語は実用の英語とは思えない。「池には何羽の白鳥がいるか」とか「ジョンが教室に駆け込んだ時、ベティは本を読んでいた」みたいな話は、どんなシチュエーションで使うのだろう。白鳥は勘定すれば分かるし、ベティが何をやっていようと構わないではないか。それでも万が一、こんな事を書くか聞く場合があっても、TOEICのような文章は使わない。

 ベルリッツのイギリス人先生は「TOEICはアメリカ英語(当時)なので我々は満点を取れないんだ」とぼやいていた。彼によると「英文法」はアメリカに遅れてやってきたドイツ人が編み出したもので、ネイティブには不自然に聞こえる点も多いんだとも言っていた。

 

 勢いに乗って英検1級にチャレンジしようとしたら、その前に「国連英検」と言うのがあり日程的に間に合うことを知り、「国連英検A級」を受けてみた。1次の筆記は一回で通り、これで2次のインタビュー(面接)の試験を3回まで受けれる。2回落ちて3回目でやっと受かった。

 

 それで問題の英検1級だが、過去問を見ると2次試験は「インタビュー」ではなく「デベ―ト」なのだ。おまけに必要な語彙が私が得意な不動産・経済・ビジネス以外に非常に広範で、ボキャブラリー・ビルディングが必要だった。

 結局、それをやっている途中で準備の時間切れとなりボキャブラリーの点ばかりが高く、全体では合格点にわずかに届かず、1次で落ちた。2次のデベートなんて絶対に通る訳がない。英語はこれで止める事にした。

 

 どの試験も一長一短だ。

 TOEICは自分の英語力の位置を知るなり人事部が使うのには便利だが、現実には使うことがない文が多すぎる。あれはいったい何を想定した文章なんだろうか。

 国連英検は国連のいろいろな活動内容をそこそこ知っている必要があり、これは通常のビジネスパースンには不必要な知識だ。私が国連英検A級に通ったのはまぐれだったのかもしれない。

 英検1級は範囲が非常に広範でかつ深すぎると感じたが、通訳業務でも念頭に置いているのだろうか。実務を持つ人間(例:私の「不動産」)にとっては難しい割りに努力する意味が非常に薄い。

 

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