まったく世の中は一筋縄にはいかない。
アメリカではロックダウン直後に「在宅勤務礼賛」の記事があふれて、これを冷ややかに見ていた私の予測はあたった。
今はかなりの「在宅勤務者」がオフィスを懐かしがり、戻りたがっている。この傾向は共和党支持の州(保守的)で大きく、民主党支持の州(リベラル)ではそれほどでもないなんて話もあるが、これはかなりいい加減な感触の話しだろう。
「人間はオフィスに集まることで何を期待しているのか」という話は、エコノミストや経済学者、経営コンサルタントにはわからないのだ。かれらはあまり集団的ではないからだろうか。
アメリカ人達はもう自宅で働くことにフラストレーションを感じているのに、オフィスへ戻ることに待ったをかけているのが感染症予防等を担当する「疾病対策センター(CDCP)」が出したガイドラインだ。
本ちゃんに目を通していないが、エレベーターには1人しか乗らない、隣との机は1.8m以上離す、出勤には公共交通は使わないほかいろいろあって、守っていたら話にならない。
このガイドラインに従おうとしているのか、業務を復活させるための必然性なのか、マンハッタンの銀行や大手ファンドのオフィスの復活計画はすごい悠長さだ。
ゴールマンサックスは今月に、シティは7月初旬に第一弾をオフィス復帰させるがいずれもごく僅かで、どうやら対象は行員の10%前後のようだ。大部分の行員は数ヶ月、オフィス復帰の順番がこない。
とにかくニューヨークの金融業従事者、一声35万人のうち8月半ばまでに戻れるのは10%、年末まででも29%しかないとの予想もある。
ウィルスからの安全性を考えると、オフィス復活を急がないということになるのだろう。
先日、「いつまでも在宅勤務礼賛的な記事が多すぎる」と指摘をさせていただいたウォールストリート・ジャーナルだが、日本販売6月9日のコラムで、はっきりと論調を変えた。「在宅勤務の問題点」について新しい視点も交えて多くを指摘、同紙もやっと本調子になってきた。
このコラム欄(Heard on the Street)は非常に有名なコラム欄で世界的にも重要視されている欄だ。ウォールストリート・ジャーナルの中でも力のあるベテランが担当、編集局の考え方がよく出ているのだ。この記事は今後の同紙の論調の方向性を示すものだろう。
ただ「新型肺炎問題」ではニューヨークがロックダウンされてからまだ僅か2ヵ月半なのだ。この間に「みんな自宅にいろ」といわれて、今は「オフィスに戻りたい」といったって、事は簡単ではなかった。
私の場合、あさってオンラインでセミナーの講師をするのだが一週間ほど前からWiFiが不安定になった。Zoom等でトラフィックが増加したのかと思い、当日の電波の安定性が不安で大騒ぎしてプロバイダーに来てもらった。
診断はWiFi中継器の故障とルーターのリセットを怠っていた為で、まったく馬鹿丸出しである。
たぶん在宅勤務の後始末でもオフィス復帰でも、予想が付かなくわけのわからない問題が大量に起こるのだろう。
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