ユニゾという会社がある事はHISが買収オファーをした時に初めて知った。
その後、ソフトバンク系フォートレスがホワイトナイトとしてオファーし、一件落着と思っていたら、ブラックストーンの敵対的買収オファーと前後してユニゾがフォートレスへの支持を取り下げ(合っていますよね?)、今度は「従業員が組成する会社にローンスターがファイナンスをして自社に買収オファー」をした。最終的にここが買収するということで落着したらしい。
「経営者がファンドの力を借りて会社を買収する」というのはMBO、マネジメント・バイ・アウトといってよくある。
今回の「従業員組成・・」というのは、たぶん世界初の「EBO」だ。
こんな話が通るのも日本は不思議だなと思っていたら、案の定、誰かが、今回の話は「従業員主導の話ではなく、経営者がオーケストラ(指揮して動かした)したものだ」と、証券取引等監視委員会に通報した。
虚偽開示でひっかかるようだ。
ユニゾの小崎CEOの評判を何人かに聞いてみたのだが、すべての人が非常に悪く言う。「マムシ」とまで言う人がいた。ここまでみなから悪く言われる不動産関係のトップというのは、バブル時代以来だ。当時はそのスジの方までいらした時代で、株付けされた時には身構えたものだ。
不思議だったのは「(小崎CEOは)頭がいい」とされているという話があった事だ。彼は生まれ年から計算すると一浪一流か二浪か二流になるわけで、東大に入ったり出たりするのにそんなに時間がかかる人が「頭がいい」訳はないと思う。
もちろん上のような厳しい評価と企業経営者としての腕前は別物だ。ユニゾって、なんと昔の常和興産ではないですか。
ここは日本興業銀行のゴミタメ会社だった。
「ゴミタメ会社」という性格の会社はバブル崩壊当時、どの銀行も持っていた。ある会社が500億円で買った土地に500億円の融資をし、バブル崩壊でその土地の価値が10億円になってしまった時、「その土地には買値そのままの価値があるとして500億円の融資とともにこのゴミタメ会社に移す」わけだ。つまり、はなから490億円の含み損を抱える。
小崎CEOはこんな会社を一部上場までもっていった。これはこれで大したものだ。
保有不動産の含みをためこむ一方、それを株価に反映させていなかったために今回はスキを突かれたのだろうが、いかにも興銀が全盛だった「昭和の時代」の企業経営姿勢だったわけだ。公募増資ばかりやってたんではだめで、もう少し現代的な企業経営をしないと不動産業界でも時代遅れと言われる。たぶんアドバイスをする人がいなかったのだろう。
今回の「虚偽開示」の話は証券取引監視委員会のさじ加減次第だろう。
当面は「従業員組成の会社」というまか不思議な話にどうかっこうをつけるかが注目される?