「モーゲージ」というのはここでは「住宅ローン」のことだ。
貸し出しのタイプには2つあり、一つは新規融資でこれには「新築住宅」を買うときと「中古住宅(既存住宅)」を買うときがある。
もう一つは借り替え用の融資だ。たとえば金利5%のローンを3%のローンに借り替えようとする人に融資する。
ここで注目しているのは2月から3月前半までに急増した「借り替え」の融資の話だ。申請件数が多すぎて、銀行の処理が追いつかないところが出てきたという話がまずあった。
それが新型肺炎の急展開で「処理が追いつかない」どころの騒ぎではなくなった。
感染への警戒や「ソーシャル・ディスタンス(ウイルスがうつらないように人と人との間を十分に取れという話)」がやたらに強調され、対面でおこなう必要がある部分で手間が異常にかかっている。
「お金を貸しましょう・借りましょう」というのはどこかで顔を対面であわせるものなのだが、それが難しい。さらに借り替えの場合、不動産鑑定士とか公証人に一件書類を書いてもらわなくてはいけないのだが彼らは休業、裁判所へ行くこともあるのだが裁判所が真っ先にしまっているわけだ。
それでもなんとか一件書類を揃えるわけだが、クロージングのときなどはサインをもらわなければならず、書類をもって自宅へ伺うのだが、玄関を開けてもらえない。仕方がないのでガレージのドアなら下のほうはすき間が大きいので、その間を通して書類のやり取りをしているらしい。
大丈夫なのか、あめりか!!
ちなみに世の中が平和な時代の最後の住宅統計を見てみよう。
3月19日発表の2月分の既存住宅販売は前月比で6.5%増加、この増加幅は13年ぶりだ。13年前というと2007年、アメリカの住宅バブルがはじけた年だ。このときの状況は、鮮明に覚えている。
既存住宅販売というのはクロージングでカウントするので、2月分の既存住宅販売にカウントされているものが契約書にサインされたのは1月から2月の初め。
3月分ではまだ新型肺炎の影響はフルには出てこない。先行する「仮販売指数」はかなり下落するだろう。
数字的には4月分からが悲惨になる。
「既存住宅販売」というのは各種経済指標の中では「先行指標」に分類されるのだが、こうやって見ると意外と遅いというか、今の激変が早すぎるというか・・
日本の住宅統計は官民ともに役に立たないものばかりだ。日銀や財務省の金融政策他は目隠しをして占いかおまじないに頼ってやっているのではないかと思う。
アメリカは統計が多いが、それでも十分とは言えず、住宅分野ではサブプライムショック、リーマンショックのような惨事を招いた。だからアメリカを見習わなくていいとはならない。
アメリカのリーマンショックからの立ち直りと、日本のバブル崩壊からの立ち直りを比較すれば、日銀・財務省が目隠しをしながら頼ってやっている占いやおまじないではあまりに心もとないのだ。
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