中国がアヒル10万羽をパキスタンに送って迎え撃とうとしているイナゴの大群

 イナゴ(バッタ)は時々大発生し、「イナゴの大群」になって畑の作物を食い尽くす。BBC(日本配信)2020年2月27日、ロイター3月2日付けの記事によると中国が警戒態勢に入っている。パキスタンではイナゴの問題で2月に非常事態宣言が出された。以下は主にこの2つの記事からの組み合わせだ。

 

 今、このイナゴの大群で大きな被害が起きている地域は2つあり、「東アフリカ諸国」と「インドおよびパキスタン」だ。中国は自分の国にイナゴが侵入することを恐れ、対策としてパキスタンに送ろうとしているのが「アヒル10万羽」だ。

 アヒルは一日にイナゴを200匹強を食べるそうだ。一ヶ月で6億匹になるが、この程度ではアヒルの数は足りないような気がする。

 中国ではイナゴの大発生が結構な頻度であり、「イナゴにアヒルで立ち向かう」というのは古来からの知恵らしい。長距離に救援でアヒルを派遣した例では、2000年に3万羽が東部の浙江省から西部の新彊地区へ送られた事がある。しかし今、大発生しているエリアは乾燥地帯という点が気になる。アヒルは「水辺」を好むからだ。

 

 国連は、今回の大量発生の原因は、アラビア半島で2018年と2019年にあったサイクロンのシーズンの大雨で、これによりイナゴが少なくとも三世代にわたって繁殖、これが元になって東に移動しながら巨大化したのがインドとパキスタン、西に移動したのが東アフリカ諸国だとしている。

 

 イナゴは風に乗ると一日で150kmも移動する。また天候等の不確定要素が高く今後、どのような移動経路をとるかを予測できない。中国が警戒しているルートは:

 -パキスタンとインドから、チベットへ入るルート。

 -ミャンマーを経由して雲南省に入るルート。

 -カザフスタンを経由して新彊地区に入るルート。

 

 わたしは一回だけ、バッタ(イナゴではなかった)の大発生に出会ったことがある。

 沖縄の石垣島から船で30分の「黒島」という島でコテッジに泊まった時、10数棟が建っていた芝生と草で覆われた敷地内でバッタの大発生が起きていた。一歩、歩くたびごとに数100匹以上のバッタが飛んだ。

 父は富山県西部の農村の出身なのだが、バッタだかイナゴだかの大発生の話をしていた。父の自分の体験だったのか、言い伝えで聞いた話だったのか私は覚えていない。

 たしか古典小説でも、イナゴの大発生が重要なモチーフになっていたものがあったと思う。

 ユーロが誕生する前、為替での利益を狙って集まる無数のファンドのことを「イナゴ」と呼んでいたので、ヨーロッパでもこの手の話があるのだと思う。

 

 ということで中小規模のイナゴの大群は時々は起きているようだが、今回のものは「この20年以上で最悪」とパキスタン政府はしている。もし中国に侵入するとしたら6月か7月と見込まれ、新型肺炎の次はイナゴというのでは中国人がかわいそうだ。

 なんとかアヒルたちにがんばってもらおう。