一週間ほど前に証券会社の方と話をしたら、もう新型肺炎はテーマとしては終わりました、次はアメリカの大統領選がテーマだとおっしゃっていた。
そうしたらその直後から、新型肺炎騒ぎで下落していた株価全般が上昇を始めた。本当にプロというのは大した物だが、現実の世界では依然、新型肺炎は大問題が続いている。
少し前にこのブログの新型肺炎の話での末尾に、中国で閉鎖されている大都市で物流再開直後に起きる「食料争奪戦」の可能性という、いやな予想を書いた。
驚いたことに香港で、まだ穏便な形だが、秩序崩壊に結びつきかねない序曲が始まっているようだ。
まだ一部の話なのだろうが、食料品店やコンビニの棚はがら空き、消費者は商品が並べてあったら全部買って帰り、何はともあれ行列ならとにかく並ぶという光景が見られるらしい。
これは昔のロシアや最近はアルゼンチンでも見られた現象だ。
日本でも東日本大震災の直後、私は似たような経験をした。東京や横浜でも多くの人が食料品の買いだめをし、コンビニの棚は一時、がら空きになった。
ロシアやアルゼンチンとこの時の日本の違いはなんだったのか。
最大の違いはたとえ買占めに走っていても、日本人は政府なり、市役所への信頼を失っていなかったことだ。多少の不手際はあっても、政府等の行政機関はやがて国民と協力し合って秩序を回復してくれる、という前提が存在していた。
香港政庁はどうだろう。長らく続いた抵抗運動で信頼を失い、デモ隊にマスクはするなと言っておきながら、今度は新型肺炎でマスクをしろといい、最近では政庁トップはマスクを外している?
これでは信じろと言う方が無理ではないか。
もともと中国人は「政府」なんて信じていないという国民性だ。家族や一族や、あるいはそれらを包含する一回り大きな血縁・地縁集団、なんだかわけのわからない理由で結びついている集団、これらがぐじゃぐじゃになって大きな円となり、その円の真ん中にあるのが「中華」だという。
これは高円寺か中野のスナックで中国人のおばさんから片言の日本語で聞いた「中華」の意味の解説だ。彼女は日本人は「中華」を理解していないと言っていた。この話、どれだけ本当の話なのかは分からないので、ご注意を。
「中華」の中の「小中華」「小々中華」は自分を裏切らないし自分もこれらのメンバーを裏切らない。
しかし「政府」とか「王朝」とか「皇帝」はいつ自分を裏切るか分からない。
もし香港人もこれと似た感覚なら、冒頭に述べた混乱は大きくなりそうだ。
「グローバル不動産経済研究会」資料会員募集 月額1万円(+税)
問い合わせ ジャパン・トランスナショナル f-ree@88.netyou.jp