今の所、新型肺炎(コロナウィルス)問題で大きく影響が出たと世界的な話題になっている不動産分野の話は、グレイター中国の次の3つだ。
一つ目は中国のデベ(マンションデベ)への影響。
販売事務所が閉鎖されている状態なので、当然、売れていない。中国のデベは受領する「手付金」を資金繰り上で非常に重要な資金源としている。工事も止まっているので出金もないはずだが、問題は「社債(ボンド)の償還」で、これはまったなしだ。
幸いなことに償還のピークは来年と再来年くらいのようなので、今回の件によるキャッシュフローの乱れがそれまでに立ち直ることを祈ろう。
中国のデベはドル建て社債も大量に発行、これが「アジア・ハイイールド債」という人気・高利回り金融商品の核として非常に多額が組み込まれている。中国のデベがデフォルトすると、アジア・ハイイールド債も下落しかねない。何年かまえに「佳兆業」という上の下クラスのデベがデフォルト騒ぎを起こし、その時にやはりアジア・ハイイールド債が下落し、世界の金融の不安定要因になった。
二つ目はマカオのカジノ
マカオは10年くらい前にこの世の春となっていたのも昔の話、5年位前から厄災続きだ。まず習近平による腐敗摘発運動で賄賂をもらった役人がめっきりこなくなった。次が外貨の持ち出し制限が強化された。外貨準備の急減に青くなった北京政府が厳しくしたのだ。もう一つくらい何かがあって、今回の旧正月ともろにぶつかる新型肺炎騒ぎからの直撃を受けた。今後の追撃としては、習近平の訪マカオがある。セキュリティの強化の為、客が来ないと見込まれる。
ちなみにカジノについてだが、あまりにも簡単に賄賂を贈れるので、その手口を紹介したい。
チップを例えば1000万円分買って賄賂を贈りたい役人とルーレットのテーブルで並んですわり、自分の前にそのチップを置く。
くるくる回って当たりが決まり、熊の手みたいなものを持っている人(ディーラー?)がチップを集めたり、当たりの人に当たりの分のチップを配ったりしてみんながガサガサしている隙に、自分の前のチップを隣の役人の前に押す。
チップをもらった役人は両替し、入国のときはルーレットで当たった申告する。
以上だ。
三つ目は外出禁止により非常に大規模な在宅ワークの実験となっていること
外出禁止になってもビジネスは進むわけで、中国のオフィスの仲間たちはチャットやビデオチャットのアプリを使いながら、仕事をしている。
慣れないのは初日だけで、二日目以降は生産性がかえってあがっているそうだ。
この手の在宅ワークは日本を含めて世界中の国で「実験的」に行われてきたが、これだけの規模でこれだけの本腰を入れて取り組むのは史上初だ。
どういうことになるのか、興味深い。
ついでに中国における新型肺炎問題が今後どうなるか、私の見立てを書いておく。
とにかく1000万人都市のいくつもがロックアウトされて経済活動が停止、物流が止まっているのだ。韓国で自動車の部品が足りなくて現代自動車の工場が止まったなどというレベルで済むはずがない。
もうすでに餓死者や肺炎以外の病死者が出ている可能性がある。
地獄を見るのはロックアウトから物流が再開し始めたときなのではないだろうか。
1000万人に満遍なく食料を配るなんて不可能だ。奪い合いや、それが発展して暴動が起こると思う。食料をめぐる暴動なんて歴史の話としか聞いたことがない。われわれは「餓鬼」を見ることになるのだろうか。
いやな予感がします。
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