マンハッタンで販売される新築マンションは、今はほとんどが「ラグジュアリー」に属する高額物件ばかりで、ちょっと大型な物件の共用部はプール付きがあたりまえだ。
住人のうち実際にこのプールを使う人間はごく限られていて、一部の人間だけが使用しているそうなので、これは不思議な話だ、
マンションに付置するプールって金食い虫なのだ。水道代、電気代、清掃費・・・、ただですら日本より割高なマンション管理費はさらに高くなってしまう。
アメリカ人が一戸建ての住宅のプールにこだわるのは昔からだ。プールがある家は「プール付き豪邸」になる。あと付けで作るとプール設置の工事費は平均400万円、しかし評価額のアップははるかにそれ以上だ。郊外の建売住宅では狭い敷地に湯舟みたいなプールを押し込んだ住宅がずらりと並べられている例もある。
しかしそんなに評価が高いプールだが、一戸建て住宅でも使う人はめったにいないそうだ。変な話である。
同じようにめったに使わないが、あれば高く評価されるのが「暖炉」だ。これは似合わない建物にあるとチンチクリンになるが、しっとりとした大きな家の広いリビングの片隅にあったりすると、高く評価される。
しかしこんなものは下手に使うと火事になるか一酸化中毒になるわけで、よほど好きな人ではないと使わない。
日本のある高層マンションに付置されていた本格的なプールでも、常時使用する住人はめったにいなかった。数少ない利用者の一人が元水泳選手の木原光知子(美知子)で、このプールはほとんど彼女の専用使用の状態で年がら年中泳ぎ、「ヌシ」になっていた。
木原光知子はちょっと見では姉御肌だが、他の住民に偉ぶったり威張たりするようなことなど絶対なかったそうだ。大変性格の良い方、良い人だったと聞いている。
宮沢りえと貴花田の婚約が破談となった後、マスコミは一生懸命に宮沢りえの所在を探したが発見できなかった。彼女はこのマンションで木原光知子にかくまわれていたのだ。そして傷心の気晴らしなり気分転換で、二人はよくこのプールで泳いでいた。
気づいた住民もいたのだろうが、みなそっとしていた。
マンションの管理会社の報告を聞いて、このことはみんなで厳秘にしておこうという事にした。
あの頃はまだ宮沢りえが三井のリハウスの「初代リハウスガール・白鳥麗子」としてデビューした時の鮮烈なイメージが残っており、互いに20才そこそこだった貴花田との幼い恋の破談がいじらしくもあり、みんなで彼女をマスコミから守ってあげたかったわけだ。
それに、これを聞きつけた彼女の強烈なファンがペットボトルを持って現れ、「宮沢りえが泳いだプールの水をくれ」と言い出す恐れもあった。
芸能界のことは全然知らないのだが、ときどき宮沢りえをテレビで見ると、この時のことを思い出す。
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