日本の長い正月休みにいらつき始めた海外のメディアとゴーン氏の問題

 ゴーン氏の日本脱出劇は海外でも大変な注目を集めている。

 しかし正月休みに重なり、日本発の本格的な情報が出てこない。日本の長い休暇に一部の海外のメディアがとうとういらいらを表現し始めている。

 ソフトバンクが抱える大問題について海外では日本のメディアとは比較にならない量の報道がされていて、ビジネスの世界では日本は今、世界の注目の的なのだ。

 

 多くの役所や企業では、今年の「仕事始め」は1月6日(月)だと思う。 

 アメリカの企業では、エグゼクティブを中心に早い人は感謝祭(11月下旬)前後から休みに入り、クリスマスから1月1日まではほぼ全社的に休業だ。

 十分充電するなり休みに飽きるなりしていて、1月2日から即、フル回転モードで仕事に入る。

 

 日本の場合、「仕事始め」とは呼ばれてはいるが、仕事は始めない。社長の年頭所感を聞いたりお屠蘇を飲んだり、あいさつ回りにでかけたりみんなで初詣に行ったりする。役所も民間企業の人間の年賀の挨拶の列が途切れず、上の人ほど仕事にならない。

 日本が機能を正常に回復するのは、今年は1月7日(火)である。

 これにいらいらしだした海外の新聞があるわけだ。

 

 ゴーン氏は今後、強烈に日本の司法制度、とりわけ人質司法やrigged(八百長・仕組まれた)取り調べと裁判のあり方を非難し、この点では国際世論も分かれるだろう。わけの分からない取り扱いを受けてしまう国・日本に来る、ゴーン氏のようなビジネス能力に優れた外人も激減してしまう。

 英語で発信される彼の批判は検察等にとって大きなマイナスになる。日本の当局の英語の発信力はお話にならない。何を説明してもボロクソに叩かれ、検察も裁判所も説明能力を持たない無能な集団だというレッテルが貼られるだろう。日本人とは違って、外国のメディアは容赦しないのだ。

 先ごろのジャーナリストの伊藤詩織氏へのセクハラ問題でも、日本は後進的で不透明な国だとの暗いイメージが海外で大きく広まった。世界的には厚生労働省の村木厚子氏の冤罪問題よりもはるかに激しいイメージダウンだった。

 

 司法制度の内部からの変革の試みとして、検察官と裁判官を各30人ずつ痴漢容疑(冤罪)で連行してみたらどうだろうか。30人も連行すれば一人くらいは満員電車で隣に立った被害者役の女性のスカートの糸くずがくっついているのではないかと思う。

 その人間についてはその糸くず等を基に取り調べを行い、20数日間だったか、拘置所(留置所?)に入ってもらう。通常通り証拠を可能な限り集め、起訴する。

 そして裁判の場で被害者役の女性が実は痴漢はされておらず、上司からの指令で痴漢として訴えたと証言するわけだ。これで彼はやっと無罪となる。

 

 この容疑者となってしまった検察官や裁判官にはゴーン氏の怒りをかなり理解できるだろう。彼がそれでもなお日本の司法制度に問題がないと主張するなら、その時には日本人の多くがゴーン氏の言い分ではなく、日本の検察や裁判所の言い分を理解するのではないだろうか。

 

 現状、国民の過半数は今の司法制度には問題ありと思っている。関わると面倒そうだ、相手は所詮おかみだ、こんな意識で問題が表面化していないというのは危険だ。

 

 内部変革は民間企業にとってすらも難しい。市場や競争といった外部の力が働かないと、変革は難しいものだ。検察や裁判所にはそれすらもがない。

 

 今後、ゴーン氏が繰り出す強烈な連続パンチの的は、「日本の暗部」と表現されるだろう。実際、それは当たっているのかも知れない。司法制度は国の重要な要だ。世界に通用する説明ができるような健全な司法制度の実現のために、当事者のみなさんの奮起を願いたいものだ。