ソフトバンクには奇妙でよく分からない話が多いのだが、また変な話が出た。
以前、当ブログでアメリカでは孫氏は「金満なピエロ扱いだ」と書いたが、もしかすると孫CEOはワンマンなのではなく、ソフトバンク内部でもピエロなのかもしれない。
今度の話はドイツの上場フィンテック会社、ワイアカードをめぐる話だ。
「10億$(1080億円)」を用意して資金注入すれば確実に大儲けできるという状態があり、ソフトバンク関連のファンドがこれを突っ込み、思惑通りにほとんど瞬時に大儲けした。
ところがこのファンドにはソフトバンクもビジョンファンドも資金を全く出していなかった。それどころかアブダビから多額の資金を引いて、それに相乗りする形でソフトバンクのエグゼクティブたち個人が出資をし、その各個人も同時に大儲けしたようなのだ。
大儲けした個人としてあげられているのは
ソフトバンク関係:ミスラ氏、クラウレ氏、佐護勝紀氏
ビジョンファンド関係:ナヘタ氏
いずれも大物だ。また孫CEOは出資していないらしい。出資者は他にもいるらしい。
なんだこれ?――ファンドに役員個人が出資することはよくある話だが額がでかすぎるし、「おいしい話の役員同士での山分け」にしても度が過ぎる。
「度が過ぎる」――これはソフトバンクでよくみられる。
2019年3月期、ソフトバンクグループは1兆円の利益を上げながら、税金はゼロだった。普通なら国税と地方税で5000億円の納税だろう。ルールに従った上で節税するのは国際標準、みたいなことを孫CEOは言っていた。
どんな制度でも必ず抜け穴はできる。そこを通る時にはコソコソと通るのが日本の流儀だ。度を過ぎて堂々と通る人間には、日本社会は不快感を感じるものだ。
こんな節税ができるのなら、どの会社も一生懸命、抜け穴探しをするだろう。社会全体の生産には寄与しない努力だ。
国税だってこんな赤恥をかかされたら黙っていないだろう。
例えば、ソフトバンクが引っ越ししてWeWorkジャパンへ払う家賃では巨額の税務否認が出るだろう。WeWorkの家賃は高すぎる。高過ぎる分だけソフトバンク側に課税が発生する。税金の専門用語では「寄付金」と言うやつだ。
「度が過ぎる」の次の例は、「WeWorkの80%分を取得するが、子会社(50%超保有)とはせず関連会社とする」という説明だ。WeWorkはリース債務だけで4.5兆円程度ある。アメリカのオフィス賃貸慣行ではこれは確定債務なので負債計上すべき? すると他も合わせてWeWorkの債務額は10兆円弱くらい?
「子会社にせず関連会社にする」というのはこの10兆円弱をソフトバンクの連結決算の負債の部から外すということだ。専門的・技術的判断ではなく、庶民・一般投資家の感覚で表現すれば「10兆円規模の粉飾をします」と堂々と宣言している。
子会社としたくなかったのはたぶん巨額の負債が増えると銀行等への追加担保の差し入れが発生するため(ふところを持っておくため)だろうと想像する。
しかしこれはソフトバンク一社にとどまらない、日本社会にとんでもない害悪を流す行為だ。
80%保有でも子会社ではありませんのでB/Sには載せませんなんて話が認められるのなら、どこの会社もその手口を真似て財務体質をよく見せようとするのは当然だ。
つまり日本企業の決算情報が今後はあてにできなくなってしまうのだ。これはとんでもない話だが、ソフトバンクはこんな事態を呼ぶ覚悟があるのだろうか?
孫CEOが「なぜ日本のスタートアップに投資しないのか」と聞かれたときに、日本には投資すべきサイズのスタートアップがないからだと言っていた。
WeWorkに2兆円投入するくらいなら、日本のまだ「卵」みたいなスタートアップにたった20億円ずつ、1000社に投資すれば、50社くらいはユニコーンになるだろう。WeWorkみたいな麻薬常用者が率いる会社へ投資するよりもはるかに確実な投資だったはずだ。
先般の消費税増税(2%)による税収の増加額は4-5兆円くらいだそうだ。WeWork・1社で2兆円、本来払うべき税金5000億円、合計2.5兆円、つまりソフトバンクは一社で消費税増税の半分を消し飛ばしている。
こんな会社があっても日本国民は、消費税増税を馬鹿らしいと言わずにもくもくと受け入れている。国によっては暴動が起こりかねない話なのに。
日本社会での携帯電話会社への不満は大きい。携帯電話はもう水道や電気と同じ生活インフラなのに料金が高すぎる。ソフトバンクはこうして国民から搾り取った金をばくち的投資やその失敗の穴埋め、さらには孫氏の取り巻きへの大盤振る舞いに使っている。日本のスタートアップの為には使おうとしない。
その上、5000億円の税金は払わず、堂々と(庶民感覚での)粉飾をすると宣言し、アメリカのボロ会社に2兆円つぎ込んで消費税の今回増税分の半分を1社で帳消しにしている。
日本人は韓国人とは異なり、嫌韓感情の表面化をコントロールしているが、このような自制には限界がある。しかしこれが韓国に向かってしまうと抜き差しならなくなると、うすうす感じている。
そのはけ口として社会に広まっている嫌韓感情がソフトバンクに向うことを懸念する。
そうならないようには、マイクロソフトのビルゲイツ氏夫妻を真似て慈善団体を作り、ほぼすべての孫氏の個人資産を寄付して社会貢献にまわすのが、孫氏が好きな「国際標準」にのっとった一つの対応策だろう。このような形での社会貢献はアメリカでは成功した実業家によく見られる例なのだ。