ソフトバンクの孫氏、WeWorkでアメリカで評判ボロボロ

 ソフトバンク・孫CEOの「投資家」としての評価がアメリカでボロボロとなった。孫氏はWeWorkに107億$(1.15兆円)を投じたが、同社は評価が極端に悪化しIPOを延期するはめになってしまった。孫氏が巨額投資したウーバーの株価も大幅下落、孫氏の投資家としての腕が疑われている状態で、ビジョンファンド2の投資家集めにも影響が出る見込みだ。

 

 WeWorkは上場目論見書の公開とともに批判が噴出し、改善の見込みがない巨額赤字やガバナンスの問題等でIPO評価額はみるみる切下げられ、それでも十分な投資家が集まらず結局IPOは延期となった。ガバナンス上問題になった各事項は個別には他の新規上場会社にも見られる話しなのだが、これだけ広範にかつ大規模に行っているのは例がない。

 

 WeWorkでガバナンス上の問題点として挙げられた事項を例示すると以下のとおり。

―ニューマンCEOの経営権を不可侵なものとする為、複数議決権株式を割り当てていた。

―ニューマンCEOがIPO前に大量に保有自社株を売却して換金していた

―ニューマンCEOの個人保有のビルをWeWorkに貸し付けて、賃料を取っていた

―ニューマンCEOの個人会社が「We」を商標登録し、その使用料を取っていた

 

 ファンドのシタデルのケン・グリフィン氏が今度はフロリダで9900万$(107.0億円)のビーチハウスを買った。同氏はマンハッタンの超高級マンション「220セントラルパーク・サウス」でアメリカ史上最高額である2.38億$(257.0億円)の住戸を買っている。同氏はトロフィーハンターとして知られ、今までの住宅購入額は主なもので7億$(756億円)になる。

 

 カナダのトリプルファイブは超巨大モール複合開発を得意とする事で知られている。同社がニュージャージー州のニューヨーク近郊の町で開発中の300万sqft(8.4万坪)の超巨大モール、アメリカン・ドリームの竣工が近いが、ひどい交通渋滞が予想されている。

 

 ニューヨークのラグジュアリーマンションは2013年以降に竣工した物件の4戸に1戸が売れ残り、売れたマンションの38%が賃貸に出されている。15ハドソン・285戸は2016年に販売開始したが37.5%しか売れていないが、デベは60%が契約に入っているとしている。

 

 安邦保険の15棟のラグジュアリーホテルは、韓国のミラエ・アセットが主導するコンソーシアムが58億$(6260億円)で取得した。安邦保険が2016年にブラックストーンから取得した価格は55億$(5940億円)。同保険はウォルドルフアストリアの保有は続ける。

 

 香港の抗議活動の不動産市場への影響について報道が分かれている。売上げ減少で商店家賃が下落した、新築マンションの値付けを相場より2割安くしたという話がある一方、安くなったとして投資する投資家や新規物件に14倍の申し込みがあったという話もある。今回の抗議活動の底流に、高すぎる住宅価格や家賃への不満があるという指摘がある。

 

 イギリスの実店舗の不振は際立っている。全国の目抜き通りでは上半期に3000店近い小売店が閉店し、空き店舗の割合は10.3%となった。老舗百貨店であるマークス&スペンサーは大企業の代名詞で時価総額を基準に選ばれるFTSE100構成銘柄から脱落した。

 

 日本でも観光客が来すぎる、いわゆる「オーバーツーリズム」が問題になることがあるが、幾つかの世界の観光地は話が極端だ。ヨーロッパで特に問題となっているのはリスボン、バルセロナ、フィレンチェ等。一方、アテネは観光客のおかげで経済危機から脱出できた。

 

 改築オープンしたホテル・オークラは海外メディアにも評判がいい。特にロビー周りへの評価が高い。

 

***ジャパン・トランスナショナル 坪田 清***

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