WeWorkの昨年の赤字は一昨年の倍の19.3億$(2160億円)になった。同社に対するソフトバンクによる直近の出資の際の企業評価額は420億$(4.7兆円)だった。ヨーロッパでは急激すぎる拡大を警戒し、同社がらみの不動産への融資をためらう動きが銀行の間にある。
ニューヨークでは続々と新ホテルがオープンしているが、中でも「マイクロホテル」が目立っている。部屋は小さくしているが、共用部をリッチにしている点で日本では見られないコンセプトだ。一方、ラグジュアリーなホテルではマンションを併設する例が多い。
資金調達には成功したのだが、肝心の物件取得ができないという不動産ファンドが多い。2013~14年にローンチしたファンドの未消化額は248億$(2.78兆円)だ。このような中、不動産投資ファンド最大手のブルックフィールズはファンドのオークツリーを買収した。
アメリカの住宅市場は不調に陥っていた訳だが、Fedの利上げ停止(≒ローン金利の下落)等のために明るいニュースが混じってきた。3月に始まる春の住宅販売シーズンの出足は好調で、「exurbs(準郊外)」と呼ばれる「suburb(郊外)」の更に外側の地域の住宅も売れている。
配送時間の短縮のため倉庫(配送センター)が大都市に近接して設けられるようになり、倉庫の高機能化、高層化、小型化が進んでいる。一方、小売店の閉店ペースは昨年よりはるかに高く、SCの空室率は3月末で9.3%と前年比で一割増加した。
中国の住宅価格は北京、上海、広州、深圳のメガ4都市ではほぼ横ばいだが、地方都市では10%前後の上昇をしている。中国は建前上は住宅価格を抑えるとしているが、景気対策の点では住宅価格の上昇の方が好ましいという二律背反の状態。
下落中の香港の住宅価格に、まさかの反転上昇説を唱えるエコノミストがいる。彼女は不動産価格は今後15%上昇するとしている。実際、Fedの利上げ停止で香港株は年初から反転上昇中なのだ。
シドニーの住宅価格は2017年のピーク比で13.9%と大きく下落、これが金融システムの安定性のリスク要因になるとの声が出ている。従前は「シドニーの住宅価格は底から50%以上上昇していたので、現在の値下がり程度でも銀行への影響は小さい」とされていた。
ブレグジットが固唾を飲んで見守られている中、さすがにロンドンの3月の住宅売買件数は落ち込んだ。前年比で9.6%減少だ。一方、ロンドンでのブレグジットによる人員減は大手銀行15行合計で1500人以下に過ぎない状態だった。
(ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清 f-ree@88.netyou.jp)