アマゾンはロングアイランドシティ(ニューヨーク市クィーンズ区)での巨額の第二本社計画を突然撤回した。地元の反対運動を嫌ったことが主因と見られる。反対運動は民主党の進歩派(左派)が主導していた。一方、ニューヨーク市民の多数派はアマゾンを歓迎していた。
地元の政治家の間には、クオモ州知事とデブラシオ市長が地元に諮らずにアマゾンと条件を交渉していた事で、フラストレーションがたまっていた。一方、もろ手を挙げて歓迎されるものと考えていたアマゾンにとって、ニューヨーク流の民主主義は異文化でもあった。
主な論点は多額の税インセンティブをアマゾンのような超高収益会社に与える必要があるか、他に税金を回すべきではないか、地元で家賃は上昇しないか、地下鉄の駅の混雑がひどくならないか等から、本件とは無関係の顔認証の是非の問題にまで拡散していた。今回の話は来年の大統領選を視野に、民主党内で左派と右派の分裂を深めてしまう可能性がある。
ソフトバンクのビジョンファンドはアブダビが主導するITファンドへ2億$(220億円)を出資する。額は小さいがこれはアブダビがビジョンファンドへ出した資金の一部を取り戻すのと同じだ。サウジとアブダビの不満はWeWorkへ巨額出資で表面化していた。
シアーズは店舗面積が今までの3分の1へと小型化した店を中心に生まれ変わる予定で、また、トイザラスブランドを再生させようとしている旧同社役員たちは標準的な店舗面積を昔の4分の1とする計画だ。大型店ではこのように店舗をスリム化する流れがある。
ホテル業界は長期にわたり活況が続いてきたが、RevPARの伸びが2009年以来で最も低くなるなど、冷え込む気配が出てきた。基本的には新規供給の多さが原因。スーパーボールの日の宿泊料の跳ね上がり方は以前より小さくなったが、これはAirbnbの影響か。
カナダで最も住宅価格が高いバンクーバーでは、価格は前年比4.5%下落と約6年ぶりの大きな下落となった。市場規模でモントリオールに抜かれ、カナダ第3位となる可能性がある。市場規模第1位は両都市を大きく離し、トロント。
中国では債務過剰の懸念から金融が引き締められていて、不動産デベはドル建て債による高い金利での資金調達を強いられている。発行利回りは7.95-9.8%だ。行き詰った不動産会社向けの不良債権を買い集める動きも出ている。
セントラル・ロンドンのプライムな住宅はイギリスの住宅市場の中で最も大きく悪化し、2018年の売買件数は3514件でピークだった2014年比で46%減少となっている。サウスケンジントン他では56%が当初の売り出し価格より安い価格での成約となっている。
米シティがカナリーウォーフ所在のイギリス第4位の高さのビルを12億£(1730億円)で買収交渉中の模様だ。売主は中東系で、同ビル内にはシティのスタッフ6000人が勤務している。シティはニューヨークやパリでも見られるように自社ビル所有を方針としている。
(ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清 f-ree@88.netyou.jp)