ソフトバンクがWeWork(ウィ・ワーク)にまた巨額の資金を投入した。今回の出資額は10億$(1110億円)だが同社は昨年44億$(4880億円)を出資している。WeWorkは7.02億$のボンドも発行したので、1年強の間に合計61億$(6770億円)もの資金を調達した事になる。
同社の上半期の売上げは7.64億$(848億円)、赤字は売上げとほぼ同額の7.23億$(803億円)だ。事業を拡大すればするほど赤字も大きくなるという状態から抜け出せない。
ソフトバンクのファンドの大口出資者はサウジだが、変な話が出ている。皇太子があまりに気前よすぎて、資金難になるのではないかとの噂だ。イラン・カタール問題他で誤算が生じている事は確かで、ソフトバンクは前門の虎、後門の狼状態になりかねない。
ブルックフィールドが大型リートのフォーレスト・シティを買収した。ブルックフィールドは最近は上場子会社の「ブルックフィールド・オフィス・プロパティーズ**」ではなく、親会社の「ブルックフィールド・アセット・マネジメント」が前面に出る事が最近増えている。同社の不動産資産は1550億$(17.2兆円)でブラックストーンと世界首位を争っている。
(**「ブルックフィールド・プロパティ・パートナーズ」に商号変更した模様。)
商業不動産仲介大手のクッシュマン&ウエイクフィールドが新規上場した。同社はロックフェラーグループ傘下の時代に三菱地所宛に付録として付いて来た時代がある。その後、三菱地所は同社を売却してそこそこの利益を上げロックフェラーの赤字の一部を取り返した。
アメリカの住宅市場は好調が続いていたが、曲がり角に来たようだ。「新築住宅販売(件数)」「既存住宅販売(中古住宅売買件数)」がともに減少、後者は米西部で大きく減少した。但し価格は上昇率が鈍化傾向にあるとは言え、まだ年6%台前半の上昇率。
HNAではフランスで共同会長が教会の崖から転落死するという事故が起きたが、資産売却作業は継続している。同社は「非中核的事業を売る」との話だったが、今回は航空機リース子会社の株式30%をオリックスに売却、「中核的事業を売った」という点で、注目される。
なおこの春以降本格化したHNAの一連の売却については、「売り急いではいるが、ファイアーセール(叩き売り)にはなっていない」という評価がされている。今回のオリックスへの航空機リースの会社の持ち分売却も妥当な値段だ。
余談だが、HNAがマンハッタンで2016年に購入した警察署が入っているビルについて、外国人による投資を国家安全保障の面から審査する委員会が、これを売却しろという命令をHNAに出した。当該警察署がトランプ大統領の本宅があるトランプタワーも所轄するための模様だが、HNAがこのビルを購入したのはトランプ氏が大統領に当選する前だ。
中国で不動産市場の上昇が特に地方都市(ティア3クラス)で激しくなっているが、ここのところ景気に懸念が持たれていることから、政策が手詰まりになっている。一方、住宅事業用地の公売の売れ残りが増加したり、実質的にマンション購入に紐づけられていた中央政府の通貨供給増が停止になるといった動きもある。
シンガポール政府が先日出した住宅市場抑制策で最も打撃を受けるのはラグジュアリー・セクターで、今後大幅に販売件数が減少すると見られている。昨年はこの市場の3分の1が海外勢による取得だったのだが、彼らを狙い撃ちしてスタンプ税が引き上げられた。
イギリスの住宅市場はロンドンが先行して崩れ、それが全国的へ広がっている。しかし今でも、ロンドンが最も悪い状態だ。一方、ロンドンのプライムな立地のラグジュアリー物件は第2四半期、価格が前年比で1.2%の反発上昇をした。これらのラグジュアリー物件の価格の過去のピークは4年前で、以降12%の下落をしていた。今回の動きが本格回復につながるかどうかは不明。
(ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清 f-ree@88.netyou.jp)