巨額の海外M&Aを中国当局から咎められているHNA(海航集団)の共同会長が崖から転落死・・

 巨額の海外M&Aを中国当局から咎められ、資産処分を急いでいる渦中のHNA(海航集団)の共同創業者兼共同会長が、フランスの教会で観光中に崖から転落、事故死した。同氏は買収の際も、現在の資産売却においても陣頭指揮を取っていた人物。HNAの円滑な資産処分(=債務削減)が躓くと中国の金融システムの健全性も損なわれてしまう可能性がある。

 

 日本関連の記事が多く出た。①企業年金がオルタナティブ資産投資に向かう。②日本でも一時、ボンド利回りがジャンプ。③ウォルマートが西友を売却か、④酷暑で2020年の東京オリンピックに懸念。⑤日本のカジノは業界にとって2002年のマカオ以来のチャンス。

 

 イールドカーブへの注目が高まっている。長期金利が短期金利よりも低くなる「逆イールド」入りが懸念されているからだ。不動産の世界では「イールドギャップ」とは「調達金利と不動産投資利回り」の差の事を言うが、金融の世界では「長期金利と短期金利の差」の事を言う。Fedの利上げ等により短期金利が上昇、イールドギャップが縮小、マイナスの状態(逆イールド)に陥る懸念が持たれている訳だ。経験的に、逆イールドは景気後退の前兆である。

 

 アメリカのベルエア(ビバリーヒルズの近傍)で、販売価格1.8億$(199.8億円)の超豪華建売が売りに出された。アメリカの住宅取引の最高記録は2014年にハンプトンで起きた1.37億$(152.1億円)。ニューヨークでの最高額は2015年のワン57の1億47万$(111.5億円)。

 

 アメリカで既存住宅販売が季節調整済み年換算で538万戸と3か月連続で減少、好調だった住宅市場に影が差している。既存住宅販売(中古住宅売買件数)はアメリカでは全住宅流通量の約90%を占め、残りが新築住宅。新築と中古の流通量の比率は、日本とちょうど逆。

 

 ブラックストーンの快進撃が続いている。第2四半期末のポートフォリオは前四半期末から9.5%も増加し、4394億$(48.8兆円)となった。同社は現在の「パートナーシップ」から「株式会社」への変更を検討、これを好感して「株」にあたるユニットの価格が上昇した。

 

 中国投資公司の2017年の純益は前年比37.6%増の1030億$(11.4兆円)と、大幅な増益になった。特に海外投資が好調で、利益に貢献した。同公司は外貨準備の運用の多様化の為の組織であるが、現在の上海株の下落を見て国内株にも投資したいとの意向を示している。

 

 香港では不動産投資のジャンルの一つとして、「駐車場投資」がある。住宅に投資するとかかってしまうスタンプ税(印紙税に類似)がかからないこと等が魅力だ。平均売買価格は一台225万HK$(3170万円)だが、今回九龍で発生した取引は600万HK$(8460万円)。

 

 シンガポールでは4年続いた住宅価格下落が底打ちして間もないが、特に事業用地取得時において過熱感が見られる状態になっていた。当局は新たな不動産市場抑制策を発表、デベの株は直ちに下落、シティ・デベロップメントやUOLの株価は16%以上の下落をした。

 

 SWF(ソブリン・ウエルス・ファンド)を含むソブリンファンド(≒政府系ファンド)の動きがよく報じられるようになった。原油価格がある程度回復したせいかも知れない。今回報じられたのは、ソブリンファンドが手数料が高いファンドへの運用委託を切っているという話だ。

 

 今年上半期の世界のM&Aは上半期では史上最高額となる2.5兆$(278兆円)で、前年同期比では61%増となった。100億$(1.11兆円)以上のディールは、36件だった。本年通年では5兆$(555兆円)を超す見込みだ。しかし不動産M&Aは前年比で微減となっている。

 

                                  (ジャパン・トランスナショナル 代表 坪田 清 f-ree@88.netyou.jp)