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「安邦保険」は中国の企業の中で最も盛大に海外投資をしている会社だ。
実質的な世界デビューとなった著名取引はホテルのウォルドルフ・アストリアである。
その安邦保険の怪しさについて中国の有力経済紙・財新伝媒がケチを付けている。
安邦保険の資本構造のいかがわしさは、以前ウォールストリート・ジャーナルがかなり詳しく調べていたのだが、決定的な問題をあぶりだすまでには至っていなかった。
今回もどうなるかは分からない。たぶん、中国の保険業規制当局の出方次第だろう。
安邦保険はこの1年半の間に160億$(1.8兆円)の海外M&Aをしてきた。
同社は保険会社であり、海外での資産取得に際しては資本金との見合いで制限がある。
同社はこの「資本金」について、インチキをしていたのではないかというのが、今回の財新伝媒が伝える点だ。
インチキの手口は複雑な株主構造を利用して行われているとされる。
「循環出資」で増資の額を膨らましたようだ。
「循環出資」とは数社以上の会社が互いに資本金を「循環して」出資しあうことにより、実際の資本調達額よりも何十倍も何百倍も多くを「資本金」として計上する方法だ。
日本では百貨店の「そごう」がこの手法を使い、会社の実力を実態以上に見せていた。
西武グループ(鉄道・流通の両方とも)でも昔は類似の話があったという記憶がある。
安邦保険は海外で大型M&Aを実施する際に循環出資で膨らました資本金により当局の審査をパスして、ディール実施後は資金取引を元のサヤに整理していた形跡があるようだ。
中国の不動産関連の大手はこの所、「資本の部」でのつまづきが目立つ。
恒大集団は万科企業のM&Aに一口乗ろうとして、やはり保険業当局に止められた。
大連万達は香港市場での上場を取りやめた。ただちに上海市場に乗り換えるつもりだったが、再上場の許可がなかなかおりない。一方で各種の巨額投資に伴う資金は出る一方だ。
以前デフォルトした佳兆業は、先進国の判断基準で見ると一部はどのように負債が整理されたのか判然としないままでの再上場だ。
資本流出規制が敷かれている中で今現在、もっとも活発に海外M&Aを行っている中国企業はHNAだが、この会社の相次ぐ巨額買収の仕方にも危うさが感じられる。
<グローバル不動産経済レクチャラー/海外不動産セミナー>