近年は「観光立国」とまではいかなくても、積極的に「観光客、ウエルカム」というのが多くの国や都市で見られる共通の姿勢になっている。
住民がそれまで「当たり前」と思っていたものを、外部からの観光客が評価してお金を落してくれるのだから、産業振興の近道ではある。
しかし本当にどこの国の住民も観光客を歓迎しているのかと言えば、そうでもなさそうだ。
今年になってから3つの国(都市)で立て続けに、「何でもかんでもウエルカムという訳ではない」という話が表面化した。これらがどこまで例外的な話中は分からない。
まずスペインのバルセロナだが、不埒な事やはなはだしいマナー違反な事をする観光客が多く、また観光客のおかげで家賃その他の物価が上昇、これらが市民生活に悪影響を与えているとして、ホテルの新設を制限する事にした。
今後は市の中心部でのホテル建設は認められず、外周部でのみ、建築が許可される。
観光地としてのバルセロナの特徴は観光スポットが比較的狭いエリアに集中していることで、また同市はヨーロッパではロンドン、パリ、ベルリン、ローマに次ぐ人気の観光都市でもある。
ニュージーランドは人口470万人だが、昨年は350万人の観光客が海外から訪れた。2022年には450万人と、ほぼ総人口に等しい観光客が来ると予想されている。
こんなにこられては、たまったものではない訳だ。
氷河を歩いたり、谷川で沢下りやラフティングをしたリ、絶景の山道を歩いたりするするのが人気だが、これらのアクティビティの拠点となるのは小さな田舎町だ。稼働率が94%というホテル不足に加えて、下水処理施設等のインフラ投資も急がれている。
アイスランドは世界で最も人気がある観光地の一つで、近年観光客が急増、2010年には49万人だったものが、今年は230万人と見込まれている。同国の人口は34万人に過ぎず、あまり多い観光客は大切な資源・宝物である「自然」を傷つけかねない。
この国でも多すぎる観光客に対してインフラ不足・処理能力不足となった。
アイスランド政府は観光客に対して「税金」を課すことを検討している。
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