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今年の秋にドイツ銀行の株価を急落させ、経営危機説まで出る原因となったアメリカの司法省とのモーゲージ証券の不実販売問題が和解決着した。
額は72億$。当初提示されていた140億$の約半分とはいえ、巨額である。
和解金額の内訳は現金払いの罰金が31億$で、残りの41億$は消費者救済だ。
クレディ・スイスも同じ日に和解決着し、こちらは53億$で、現金払いの罰金が24.8億$、消費者救済が28億$。
これで2009年以降のこの問題での和解決着は大小合わせると100件以上になり、その合計額は1640億$(!)以上になるという。
国庫の収入となる罰金部分だけで中東での空爆の費用におつりがくる。
和解決着額の累計について多い順に4つあげるとバンカメ(712.3億$)、JPモルガン(310.7億$)、シティグループ(122.6億$)、ウエルスファーゴ(105.6億$)で、ドイツ銀行はこれに続く5番目、かつアメリカにおける外銀ではトップとなる91.3億$だ。
米銀のおおどころとの交渉は決着済みで、司法省の交渉の主体は欧銀各行に移っている。
具体的には、王立スコットランド銀行、HSBC、UBSが交渉中だ。
このような中、英銀第2位のバークレイズは、和解に応じず司法省と法廷の場で争うという選択をした。
これは非常に興味のある決断だ。
一つは、「ビジネス・フレンドリー」を標榜するトランプ政権下でも現在の司法省のような銀行に非常に厳しいスタンスが今後も維持されるかが、注目される。
同じ「和解」をするにしても、額のケタが違ってくる可能性があるのだ。
もう一つはそもそも論だ。
バークレイズが誰に対してどのような損害を与えたとするのか、司法省の訴状を見る限り、非常に無理がある論理構成だとウォールストリート・ジャーナルはしている。
さらに今回のバークレイズの訴訟対象には担当役員個人2人も含まれている。
従来、兆円単位の巨額和解に応じてきた米銀各行も、交渉の中で「訴訟にするなら役員個人も訴追対象とする」と司法省から脅かされていた事は間違いない。
企業のトップも人の子、普通の人間なら、これには相当ひるむだろう。
日本の金融庁の外銀への対処の仕方も相当なもの(外銀は日本を去る理由の一つに『金融庁からの監督のされ方が予測不可能な事』をあげている)だが、アメリカの司法省はそれをはるかに上回っている。
世界最大の大国・アメリカ以外の国だったら、とっくに外銀からはそっぽを向かれていた事だろう。
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