★「ソニー不動産 赤字」でグーグルを検索すると、時により私の以下の3つのブログがトップページの最上位3つを独占する状態になってしまいました。
「最上位3つを独占する」のは本意ではないため、今後は以下にこれらをまとめて記す事とし、2本は独立したブログからは削除しました。(2016年11月29日記)
・「ソニー不動産」は今年もかなりの赤字か?→経常赤字4.27億円で確定
・累積損失の額が8.00億円となったソニー不動産とごく簡単な決算分析
・ソニーがソニー不動産に仲介手数料を落す時の注意
★「ソニー不動産」は今年もかなりの赤字か?→経常赤字4.27億円で確定
(2016年6月18日にアップしたもの)
決算公告によれば去年は3億1465万円の赤字だった「ソニー不動産」、今年はどんなものでしょう。
同社は「(業界の悪習を破り?)『売主の利益』のために『売りの専任』に徹する」と高らかに宣言した。「ソニーへ頼めば、高く売ってみせる」という宣言とも理解できる。
同社の「お客様の声」の欄、現在、487件。一年間で増えた件数は300件余程度のようだ。
アンケート回収の歩留まり7割とすると、年間の取扱件数は、450~600件くらい?
営業所は現在5カ所。すると損益分岐点となる年間の取扱件数は、700件から1000件くらい?
という事は、去年に続き、今年も数億円規模の赤字なのかな。
もっとも、昨年、Yahoo!に対してそこそこの額の第三者割当増資したので債務超過にはなりようがないが。
もう一つの同社の話題である、「おうちダイレクト」の方はどうなのだろう。「Yahooオークション」の中古マンション版だ。
「(お話にならないくらい)悲惨(らしい)」という話が聞こえてくる。
これはまじめな話なのですが、お客様同士にネットで直接やり取りをさせるこの「おうちダイレクト」は、いわゆる「さらし物件」に特化するととても有効だと思う。
(試行錯誤してやっていけば、自然にそうなるという気もする)
業者としては、通常だったら面倒見るだけ骨折り損の売り主さんたちなわけだけれど、物好きなお客様同士がやれるところまで勝手にやりあってくれるなら、コストも手間もかからない。
販売期間が長期化しても費用は掛からないし、「さらし物件情報の寄せ集めサイト」に向いたビジネスモデルだと思うわけ。
ソニー不動産のウリは「他の会社より『高く』売ります」だ。つまり同社の元付け物件はほかの業者の物件より高い値段が付いている、とも宣言しているわけで・・・
どうせなら「おうちダイレクト」も「『高くて』売れないさらし物件の情報に特化したサイト」という線で売り込めばいいと思う。
これ皮肉ではなく、まじめなアドバイス。
なお「ソニー不動産」が本格的な危機に陥るのは、マーケットが下落局面に入った時だろう。
他より高く「売り」を引き受け、その分、売れるのに時間がかかり、その間に相場は下落し、結局、当初の売り出し価格を大きく割り込んで売らざるを得なくなり、お客様からの信用を一挙に失う。
ソニー不動産のポリシーは、業界での経験が短い方が考えた?
★累積損失の額が8.00億円となったソニー不動産とごく簡単な決算分析
(2016年8月14日にアップしたもの)
ソニー不動産の2016年3月期の決算公告が8月10日に出たようだ。
経常損失が4.27億円、当期損失が4.85億円。
額も含めて、以前に書いた私の予想が当たってしまった。
目を引くのは、累積損失が「8.00億円きっちり」となっている事。
あたかも誰かに「累損は8億円以下にしろ」とでも言われたかのような数字です。
オムライスを食べながら、どこでこのつじつまあわせをしたのか考えてみた。
流動資産もなんだが、まず怪しまれるのは「固定資産 5.66億円」。
内訳はたぶん「事務所敷金」「事務所内装費」「おうちダイレクトシステム開発費」「会社創業費」「その他」くらいだろうが、「期間対応の償却をちゃんとしているか」が疑問です。
もっとも、額はせいぜい数千万円の話だろうからこれは目くじらを立てるほどではない。
流動資産が27.6億円と異様に多いが、基本的には期中の増資資金を大量に現預金で持っているのでしょう。
「累損8.00億円」とするための端数合わせ以上の「不健全な流動資産勘定」がどの程度あるのかないのか、これは公表された決算書ではわからない。
「不健全な流動資産勘定」とは例えば何らかの事情でお客様から受け取り損ねた「仲介手数料の未収金」だとか、支払い済みの広告宣伝費を「仮勘定」で資産計上しておくとか、いろいろな可能性がある。
ちょっと気が早いが、ソニー不動産が「いつまでもつか(失礼!)」も、二通りの仕方で試算してみた。
アメリカの、特にIT企業が使っている「現金燃焼率」・・キャッシュフロー赤字が手持ち現金をいつ食いつぶすか・・を「流動資産」÷「経常損失+年間の固定資産増加額(両方合わせると5.62億円)」で簡易計算すると4.9年だ。
つまり新店展開も含め現在のペースだと、2021年3月期に手元キャッシュが枯渇する。
(あくまでかなり乱暴な試算だ。)
少し手堅く見つもるなり、店じまいに必要なキャッシュを考えると、2020年3月期くらいが一つのメドか。
負債の返済を迫られたり、事業拡大のための先行投資を今より多くすれば、キャッシュ枯渇はさらに早まる。
もう一つの「いつまでもつか」の試算根拠は、同社の資本剰余金18.2億円だ。
非上場会社の場合、資本剰余金を使うと累積損失を鉛筆一本で簡単に消せる。
現在の累積損失が8.00億円だから、残りは10.2億円。
今年の経常損失の額で割ると2.4年。
つまり現在のペースだと2019年3月期に資本剰余金では累積損失を消しきれなくなる。
この資本剰余金は、「親(ソニーなりYahoo!なり)が許す累積損失はここまで」という意思表明にも見える勘定だ。
二つの試算ともここ二、三年が、ソニー不動産が「もつ」限界だと示している。
なにしろ、「売上11.68億円」に対し、「販管費14.41億円」の方が2.73億円も多いのだから、現段階の予測としてはこんなものか。
去年増資に応じたYahoo!みたいに気前がいい会社なんて、そうはないと思う。
まあ、あくまで乱暴で簡単な決算分析なので、本気にはしないでください。
★ソニーがソニー不動産に仲介手数料を落す時の注意
(2016年11月13日にアップしたもの)
「ソニー不動産」のいろいろが、悪い意味でどうにも素人くさい。
大学生のサークルというよりも、高校生の部活のレベルに見えるのだ。
「ソニーがグループぐるみで脱税」なんて将来、書かれる事が間違ってもないようにしてもらいたいものだ。
なんたって「ソニー」というブランドは日本国民全体にとっての財産でもあるからだ。
ソニー不動産の税務上の繰越損失、たぶん、今期末には10億円を超すだろう。
そこでつい誘惑にかられるのが、ソニーなりソニーの黒字のグループ会社が大口の不動産を動かそうという時、ソニー不動産にわざと仲介手数料を落すこと。
これ、まずバレます。現状では落した側がほぼ確実に否認される。租税回避行為、はっきり言えば「脱税」。それも「グループぐるみ」です。
やるのならまず「ソニー不動産」に法人仲介本部を作り、何人か形だけでいいから兼務させ、本業のリテールの取り扱い物件のうち、法人が当事者になっている取引を法人仲介本部勘定にする。
同時に地道にソニーグループの社員(全体で数万人はいる?)をめぐって本気で頭を下げ、彼らの住宅の売買に伴う取り扱いも法人仲介本部勘定にする。要するに同本部の実績がなければ話にならないのだ。
しかしこれをやっておいてもなお、億円単位の仲介手数料を落すのは危険です。
一番、まっとうなやり方は、まず●●株式会社という新会社を作っておく。
(現)ソニー不動産は●●株式会社に営業譲渡し、ぬけがらになった(現)ソニー不動産は適当な名前、例えば▲▲株式会社に社名変更し、●●株式会社は「ソニー不動産」に社名変更する。これを同時にやるのです。
社名変更をし終えた(現)ソニー不動産(▲▲株式会社)は、タイミングを見て後日、清算する。
これをやれば、(現)ソニー不動産の税務上の繰越損失は実質的にソニー本体で使えます。
ただ話の前提は、これをした後のソニー不動産が、意味のある会社(≒利益を上げることができる会社)になっていることでしょう。
(投資家や株式市場から呆れられないように、傷が小さいうちに不動産業というソニーにとっての全くの異業種から撤退する、というのも重要な選択肢だ。)
ネックとなるのはソニー不動産にヤフーの持ち分があることだが、ソニーに矜持があるのなら、ソニーはヤフーから、ヤフーへの去年の第三者割当価格で全株買い取るべきと思います。なんたって「『ソニー』不動産」の清算損なのだ。
資本剰余金を取り崩して企業会計上の累積損失を消したのでは、税務上の繰越損失を有効に使えません。「形」はとりつくろえるけれど、「実」を取れないわけだ。もたもたしていると繰越損失が税務上の時効になっちゃいます。
ただで教えてあげるとしたら、この辺までです。
(追記:Sony’s Real Estate Brokerage Venture Radiates Red With Yahoo)