タロいも畑(=私のドメインである「不動産」)も石貨の売買の対象物だと知り・・・
私はそろそろこの「知的好奇心の趣くままに始めた旅」を終え、日常に戻るべきころだと考えた。
私にはヤップ島に行くヒマ(直行便はなかった)もお金もなかった。
40才を過ぎた時に初めて垣間見た「文化人類学」の世界は、あまりに魅力的だった。
私が当時、属していた不動産会社のインハウスの研究所は、設立からまだ間がなかった。こんな悠長な話も、短い間なら「テーマ」にして調べる余裕があった。
所長は理解のある人だからだったが、いつまでもそれに甘えている訳にもいかなかった。
ヤップ島の島民の方と電話で話した。
彼は手慣れた様子で、「石貨」をヤップ島民はどう見ているか、話してくれた。
彼は「この手の質問はさんざんされてきて、慣れているんだ」と言いたげでもあった。文献類からみても、すでに多くの先達がこの奇妙なお金のことを調べていた。
「知的で冒険的な航海」としては丁度、心地よい程度の長さでもあった。
最後に、日本でヤップ島の石貨の現物を見る事が出来る場所を記しておこう。
① 日銀貨幣博物館 東京都中央区・日銀の本館の向かい側
② 日比谷公園 小音楽堂の裏手
③ 大阪民俗学博物館 カヌーも展示されているほか、ビデオにも一部登場する。
あとは日本人で、ヤップ島ゆかりの個人が若干を持ち帰っている。
私がお会いした人はヤップ島で飛行場造成と埋立工事に参加していた。
船で行ったため、重くてかさばる物でも持ち帰る事ができ、何人かが小型の石貨を頂戴してきたのだそうだ。
現物は自宅の庭にあり、時々バーベキューの台で使っているとおっしゃっていた。