サラリーマン時代、例年、確定申告は、かっこをつけて東京国税局で申告していた。
当時の勤務先から、年に一回の「おさんぽ」として、ほど良い距離だったせいもある。
去年の申告は退職金そのほかで、ちょっと複雑だった。
若い女性職員のかたがニコニコ笑顔で対応してくれて、じゃっかん迷いながらもてぎわよくe-Taxを打ち込んでいく。
税額が出た。―― 思っていたより数十万円いじょう、多い。
こうみえても当ジャパン・トランスナショナル、税金のあらましはしっている。
税務申告は申告書をかくのが、めんどうでいやなだけだ。
近くにいた「中堅」という感じの男性職員のかたに、チェックをお願いした。
かれは彼女がつくった申告書をめくるうちに、どんどんまゆをひそめていった。
無言でばちばちe-Taxを打ち直してくれて、出てきた税額は80万円少なかった。
もう少しで「ただより高いものはない」を地でいく話になるところだった
去年の反省から、今年は税理士さんにお金を払うことにした。
そして知った。
会社員時代、顧問税理士さんは「会社の味方」だった。
しかし「町場の税理士さんは税務署の仲間だ」ということを。
脱税しようとしたっていうんじゃない。
細部の解釈が、税務署からのお達しどおりだということだ。
おまけに、税務署と争そってくれようというつもりも、ちっともないのだった。