ニースで泊まったネグレスコは古き良き時代からの五つ星ホテルだ。
当ジャパン・トランスナショナルが今まで泊まった中で、文句なしに最高で、ヨーロッパの本当のサービスってこんな、なんだとうらやましく思ったものだ。
ここのコンシェルジェで「ルーレットで勝つ確率が一番高くなる賭け方を教えてくれ」と頼んだら、A4サイズ2枚に書かれた指南書を持ってきた。
この賭け方は「マルタンゲール・ド・ホーク(Martingale de Hawks)」と名付けられていた。あらすじは日本語のWebにある「マーチンゲール法」と同じだ。
そしてこの指南書を手に持ち、カジノへ出かけた訳だ。
赤黒で負けたら倍々で賭けていくこの賭け方、一工夫してあり、確かに負けようがない。
ありえないくらい運が悪いと負けるが、そんな事はほとんどありえない。
しかし欠点が2つあった。
一つ目は「赤なり黒なりが3回続いて出たら、賭けに出動する」のだが、その待機時間が異様に長いのだ。
30分から1時間に一回しか出番が現れなくて、そして指南書通りに賭けて、そして確率論通りに確実に勝つ。
そしたらまた、3回、赤か黒が続いて出るまで、ただひたすらまたなくてはいけない。
二つ目は、あまりにも勝つ確率が高く、また一回の出動では必ずチップ1枚だけ勝つ(非常にささやかな勝利だ)ので、ギャンブルとしてはまったく面白くない。
あたるかはずれるかどきどきしないと、ギャンブルらしい楽しみはない。
私はいい加減にホテルに帰りたくなり、そこそこたまったチップを処分するため、普通の賭け方に切り替えた。すると何回目かの賭けで2枚重ねて置いたチップでジャックポットが出てしまった。
あまりにも巨大なチップを渡されたのでびっくりした。
換金すると一枚で5万円くらいだった。